【2024年2月県議会】日本共産党 丸山慎一県議 代表質問

質問・発言

【2024年2月県議会】日本共産党 丸山慎一県議 代表質問

 

日本共産党を代表して、質問いたします

まずは、来年度予算についてうかがいます。
いま、県予算を考えるときに、一番注目しなければならないのは、県民の暮らしと地域経済です。
物価が高騰し、賃金や年金が物価に追い付かずに実質減少しているもとで、県民生活は極めて深刻な状況にあります。実質賃金は前年比で2・5%減となり、2年連続のマイナスです。消費支出も、2人以上の世帯で2・6%減りました。一方、昨年の食料品の値上げは3万2395品目に上り、平均値上げ率は15%にも達しています。これでは、生活が苦しくなるのも当然のことです。来年度予算を考えるときに、まずは、ここに光を当てる必要があると思いますが、お答えください。
合せて注目しなければならないのは、地域経済です。物価高で消費が落ち込めば、当然地域経済に影響が出てきます。加えて、原材料や燃料代などの大幅な値上げが打撃を与えています。この間、県内では、商店や農家、漁業者など、経済を支えている人たちが激減しているのに、物価高に襲われて廃業や倒産が相次いでいます。地域経済を支えている事業者への支援を、思い切って強化すべきだと思いますが、知事の認識をお聞かせください。
 こうした事実を踏まえれば、予算の重点は、おのずと明らかになります。
 千葉県の子ども医療費助成制度は、2010年度に入院も通院も、ともに小学校3年生まで対象年齢が引き上げられました。その次の年に入院は中学校3年生まで拡大されましたが、通院はそのまま取り残され、すでに12年もたちました。子育て支援が緊急の課題となっているいま、通院助成の対象年齢引き上げを決断すべきです。
 高齢者福祉の充実も暮らしを支える要です。東京都では、福祉を支える介護職員の居住支援事業を打ち出し、都内の介護現場で働く職員を対象に、一人月2万円を支給しようとしています。職員の収入増につながるこうした対策を千葉県でも実施すべきです。
 住民の暮らしの安全にとって欠かせない信号機の設置が激減しています。8年前まで毎年100ヵ所を超えていた信号機の設置数は年々減らされ、来年度予算ではついに9ヵ所分という驚くべき状況です。これで、安全を確保できるでしょうか。子育てや介護、暮らしの安全などにこそ予算を厚く配分すべきだと考えますが、お答えください。
 こうした暮らしの予算を確保するためには、不要不急の大型事業を見直すことが欠かせません。県は広域道路ネットワークと称して、新湾岸道路や北千葉道路、房総半島を一周する大規模道路や東京湾の入口で神奈川県と結ぶ2本目のアクアラインなど、千葉県中(じゅう)を高速道路でつなぐような計画を進めようとしています。土地区画整理事業でも、決定から30年近くたつのに、依然として居住者数は計画の半分程度です。不要不急の高速道路や、失敗が明らかな土地区画整理などを根本的に見直して、医療や福祉・教育などを重点にした予算にすべきです。お答えください。
 子どもの中学校までの通院助成は31億円あれば実施できます。信号機の設置を以前のように100ヵ所まで増やしても4億円程度です。一方、来年度予算で、北千葉道路への支出は23億円、区画整理事業への一般会計からの繰り出しが24億円、これらを切り替えれば十分実現は可能です。知事に決断を求めます。

 次に、災害対策のなかの備蓄品にしぼってうかがいます。
 能登半島を震源とした震度7の地震が起き、亡くなられた方が230人を超えました。災害関連死は15人で、地震そのものから逃れたものの、劣悪な避難所生活のなかで体調を崩し、命を失ったものです。避難所の確保や十分な備蓄などがあれば助けられたかもしれません。千葉県では近い将来、巨大地震が必ず起きると言われており、建物などの耐震化や平時からの備えが欠かせません。災害関連死をなくすためにも、避難所での生活水準の向上や備蓄品の確保に力を注ぐべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 能登半島地震では、発生1週間の時点で、「水もない、食料もない、トイレもない」と悲痛な訴えが相次ぎ、輪島市長は「1万7500人の避難者に対して、2000食分しか食事が届いていない」と深刻な物資不足を指摘していました。千葉県の「災害時の緊急物資等の備蓄に関する計画」では、1日2食を必要量としていますが、非常時とはいえ、1日3食分を前提に備蓄すべきではないでしょうか。お答えください。
 千葉県の食料備蓄は、一般向けのクラッカーと、乳幼児や高齢者などの要配慮者向けのアルファ米、乳児向けの液体ミルクとなっています。内閣府の「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取り組み指針」では、「近年の食生活の向上と保存食の多様化を踏まえ」「画一的なものだけにならない」ようにとしています。例えば船橋市では、リゾットや離乳食なども備蓄しています。県も多様な食品の備蓄が必要だと思いますが、どうでしょうか。
 能登半島地震では、トイレ環境の悪化が深刻で、感染症リスクの増大や、回数を減らそうとして起きる脱水症状、エコノミークラス症候群などの体調悪化の要因になっています。内閣府の「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」では、「災害発生当初は、避難者50人当たりに1基」「避難が長期化する場合には、約20人当たり1基」を目安に確保することが望ましいとされています。県の備蓄は2900基しかなく、長期化した場合、とても足りません。簡易トイレの備蓄目標量を引き上げ、十分供給できるようにすべきだと考えますが、どうでしょうか。
 災害時のトイレの確保で効果を上げているのが、トイレトレーラーです。4基の水洗トイレがトレーラーに配備されており、容量は1200回分を超え、日常生活とほとんど変わらずに使用することができます。県内では君津市が常備しており、今回、能登地方に派遣されましたが、県として確保し、いつでも出動できるようにすべきです。お答えください。
 そもそも、県の「備蓄に関する計画」は2016年度までの4年間で、その後、更新されていません。実際には、食料品の備蓄が計画から変更されていたり、感染症対策用のマスクなどが新たに備蓄されているのに計画には含まれていません。今回の能登半島地震を受けて、備蓄計画を改定する必要があると考えますが、お答えください。

 次に国民健康保険についてうかがいます。
国民健康保険は法律で、社会保障だと明記され、住所があるすべての住民を対象にした国民皆保険制度の土台となっています。しかしいま、国保料や国保税が払いきれないほど高くなり、昨年6月の県全体の滞納世帯数は10万8109で実に7軒に1軒が払えていません。社会保障推進千葉県協議会が行ったアンケートでも、「少ない年金から国保料、介護保険料、住民税を天引きされ、手元に残るものが少なくて生活が厳しい」「年金額は減っているのに、ガスや電気が上がって家計はマイナス。食費や光熱費を削ることになる」などの切実な声が寄せられています。多くの住民が、払いたくても払えないでいるこうした現実は、公的医療保険制度で本来あってはならないと思いますが、知事の受け止めをうかがいます。
 高くなってしまった要因の一つは、自治体が行ってきた一般会計からの繰り入れを減らしてきたことにあります。
こちらのパネルをご覧ください。議場のみなさんは、お手元の資料の1枚目をご覧下さい。

このグラフは、2012年には、県内自治体の繰入額の合計が約160億円あったのに、10年後には36億円へと激減したことを示しています。減った134億円を加入世帯数で割ると1世帯当たり1万5000円にもなります。これでは、保険料が上がるのは当たり前です。県は国保運営方針で、いわゆる法定外繰り入れについて「解消・削減を図るべき」と圧力を強めてきました。「給付と負担の関係が不明瞭になる」とか「加入者以外の住民に負担を求めることになる」などの理由をあげていますが、これほど社会保障の理念に反するものはありません。社会保障というのは、個人の責任に帰すことができず、逃れられないそれぞれの困難を社会全体で支えようというものです。国民健康保険は社会保障制度ですから、加入者以外の税金を投入することに何の問題もないと考えますが、お答えください。また一般会計からの繰り入れは100%市町村の自主性に任せ、運営方針から「解消・削減」の文字を削除すべきだと思いますが、答弁を求めます。
 もう一つは、応益負担が重いことです。
 国保には「均等割」や「平等割」という応益負担があり、所得があろうが無かろうが、決まった額を支払わなければなりません。子どもが一人生まれたとたんに、均等割が一人分増えますが、船橋市ではその額が年4万円を超えています。国は世論に押されて、昨年度から小学校入学前の子どもの均等割りを半額にしましたが、無料にはなっていません。県として市町村を支援して、子どもの均等割を無料にすべきではないでしょうか。お答えください。
 千葉県では、応益負担の比率が増え、2010年度は負担額全体の37・3%だったものが、10年後には39・3%へと2ポイント増えています。金額にして25億7600万円で、加入者数約134万人にすべて均等割で増えたとすると、一人年2000円近くの負担増となります。均等割が増えれば、所得が少ない人ほど重い負担になります。そもそも均等割は協会けんぽなどの被用者保険にはありません。国の支出を抜本的に増やして、均等割そのものを廃止するよう国に求めるべきだと思いますが、お答えいただきたい。
千葉県の第1期国民健康保険運営方針は今年度6年目の最終年度となります。現在、来年度から6年間の第2期運営方針を策定中ですが、最大のポイントは、これまで反映させてきた自治体ごとの医療費水準を段階的に縮小し、最終年度にゼロにするところにあります。これが完了すれば、自治体ごとの納付金を計算するときに医療費の影響が無くなり、将来的には「加入者の所得と世帯構成が同じであれば、県内どの市町村に住んでいても同じ保険料」を目指すとしています。しかしこれによって、県内の半数の自治体で保険料が上がります。もっとも引き上げ幅の大きい東庄町では、一人当たりの納付金額が13万1270円から14万3263円へと1万2000円も増えます。医療費や所得はまったく変化がなくても、他の自治体の国保財政を支えるためだけに保険料が引き上げられることなど、許されないと考えますが、お答えください。

次に、農業と地産地消について伺います。
千葉県内の販売農家は40年前の約11万戸から5年ごとに1万戸ずつ減り、2020年には3万4千戸となりました。このまま行けば、あと15年で県内から販売農家がいなくなる勢いです。全国でも東京都の面積に匹敵する農地が失なわれ、食料自給率は38%と危機的な水準まで低下しています。いま世界では、武力紛争が各地で起き、地球規模での異常気象などで、金を出せば食料が買える時代では、なくなってきています。農業は単なる「産業」ではなく、生きる基本となる「食」を提供し、国土を保全し、農地の景観は人々の心に安らぎを与えます。こうした農業の持っている価値についてどう認識しているのか、その農業が危機的な事態に立ち至っていることについてどう考えているのか、まずうかがいます。
これまで政府や千葉県は、農業の大規模化や輸出を進めることで乗り切ろうとしてきました。しかし、いまの農業の実態は、それでは歯止めがかからないことを示しています。いま必要なのは、農家戸数を減らさず、いかに維持して次の世代につないでいくかということです。そのために最も重要なのは、農家が安心して作物をつくり、それを販売して生活が成り立つようにすることです。その代表例が、いすみ市の取り組みです。
いすみ市では、2013年から有機米栽培に挑戦して、最初の年は収穫ゼロだったものの専門家に技術的な支援を求め、18年には全国で初めてすべての学校給食に有機米を使用し、いまでは有機野菜も取り入れています。給食がおいしくなって残す子どもが減り、有機米に取り組む農家は3軒から19軒へと増加し、市内への移住者や新規就農者も増えています。転機になったのは、市が学校給食に補助金を出して給食代を値上げせずに、手間のかかる有機米にふさわしい値段でコメを買い上げたことです。「作れば売れる」、これが農家の安心感になりました。市が補助金を出して農家に事実上の価格保証をする。この取り組みを県として広げるべきです。また、県として必要額の半額を助成するなど、市町村の取り組みを後押しすべきだと考えますが、合わせてお答えください。
いま物価高騰で、農家の経営はどの分野でも、先が見えない深刻な事態です。
稲作でも、肥料や農薬などの資材や燃料代が高くなり、昨年度産のコシヒカリは一俵あたり3020円の赤字です。県として昨年並みの物価高騰対策を、青色申告や共済加入などの条件を設けることなく実施すべきです。また県独自に、一俵当たり又は面積当たりの直接給付金を支給すべきだと思いますが、それぞれ、お答え下さい。
野菜も、猛暑や干ばつ被害などの影響で大幅減収となっており、特別の支えが必要です。埼玉県では独自の条例をつくって猛暑被害にあった農家を支援していますが千葉県にはありません。猛暑や干ばつ被害で減収となった農家への支援策を、千葉県でも講じるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
酪農も極めて深刻です。県内の畜産農家はピーク時の2070戸から403戸へ激減しました。60頭の牛を所有するある酪農家は、エサの価格が高止まりして年間2千万円を超える赤字に苦しんでいるといいます。酪農家の廃業や倒産を回避するためにも、今年度、実施した牛1頭あたり1万5千円の支援を再度実施すべきです。お答え下さい。
人手不足と高齢化が離農の原因にもなっており、農業機械を使いたいという要望は切実です。農業用機械の価格が1・5倍から2倍へと跳ね上がるなか、千葉県の補助制度は予算が少なく、希望しても半分の農家しか受けられない補助事業もあります。少なくとも希望者全員が補助を受けられるように予算を増やすべきだと思います。また、エサの生産に必要な機械への県の補助制度は、経営規模の拡大が要件になっていますが、これを外して使いやすくするべきです。それぞれ、お答え下さい。

 次は建設労働者についてです。
2020年の国勢調査を見ると、千葉県内に25歳未満の大工は560人しかいません。建設業全体を見ても、25歳から29歳までの人数が、1万4497人から1万3066人へと10年間で1割も減っていいます。建設業は、生きていくために必要な衣食住の「住」を支える大事な産業であり、「衣」や「食」を支えている他の産業にとっても、建設業がなければ事業を行うことはできません。
その建設業に携わっている人が減り、若い人が少なくなっているのは極めて重大です。少子化が全体として進んでいる影響も受けていますが、建設業は他の産業と比べてもより深刻な実態となっています。最大の要因は、危険が伴う過酷な労働なのに、給料は安く労働時間が長いという劣悪な労働環境にあります。
年間労働時間を比べると、2022年の全産業平均労働時間は1718時間なのに、建設業は1986時間で、268時間多くなっています。1日8時間労働で換算すると33・5日分で、ちょうど1カ月です。この労働時間を減らしていくために、いわゆる「働き方改革」が進められ、県が発注する工事は、すべて4週8休を条件に入札が行われ、その分、労務費が5%増しになっており、この取り組み自体は評価できるものです。問題は、工事現場は週2日休みで閉じていても、労働者がこれまでと同じ給料がもらえているかどうかです。労賃が時給や日額で上がらなければ、休みが多くなった分だけ、収入が減ることになります。県として自ら発注した工事で、労働者がちゃんと週休二日を取れているのか、給料は減っていないか、調査すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
もう一つは給料が少ないことです。2019年の全産業の平均年収は561万円ですが、建設業は462万円で、約100万円も安くなっています。危険で重労働なのに、1カ月長く働いて、年収が100万円も安かったら、なり手がいなくなるのも当然のことです。国では、これを改善するために設計労務単価を引き上げており、千葉県では、全職種平均で日額2万9204円となっています。年間労働日数240日で計算すると、年収は700万円になるはずですが、実際には462万円ですから、238万円も少なくなっています。毎日1万円ずつピンハネされていることになります。
県内最大の建設関係組合である千葉土建一般労働組合が2022年に行った調査では、実際に受け取っている賃金は、設計労務単価より日給で9460円も少なくなっており、ピンハネの実態が現実の姿となって表れています。ところが県は、民間の契約によるものとだとして、これまで調査すらして来ませんでした。しかし、低賃金が改善されなければ建設産業は瓦解して行きます。県として、現場では実際にいくら賃金が支払われているのか調査すべきだと思いますが、お答えください。また、設計労務単価どおりに支払うことを義務付ける「公契約条例」を県として制定すべきだと考えますが、知事の見解を求めます。
設計労務単価や建設業退職金共済制度、各種保険など、こうした制度が建設労働者の中で、まだまだ知られていません。県が発注した公共工事の現場に、制度を知らせ、疑問や相談に応じるポスターを張り出すなど、周知に努めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 次に、12月議会で成立した「多様性条例」についてうかがいます。
 千葉県は今議会に向けて、条例にもとづく事業を示しました。多様な働き方やリカレント教育の推進など今までやってきた事業を並べ替えたものや、県立高校のエレベーター設置など条例がなくてもやるべきものがほとんどで、条例ができたと感じさせるものとはなっていません。条例制定に向けて、実効性のなさが指摘されてきましたが、県の事業内容はその指摘が正しかったことを物語っています。数少ない新規事業でも、「LGBTQに関する相談事業」は、わずか月2回電話で対応するだけで、メールの回答も月2回だけです。せめて週1回とか、週2回にしなければ、実効性が問われます。お答えください。
 条例にもとづく事業が中身のないものとなってしまうもう一つの要因は、実態調査が行われていないことです。性別による不利益を受け、障害者は個性と能力を発揮しにくく、国籍や文化的背景による差別を受けている人が現に存在しています。多様性が尊重されていない実態を、県として調査すべきではないでしょうか。その実態を踏まえてこそ、改善させるためのやるべき事業が明かになると考えますが、いかがでしょうか。
 多様性を尊重しようとするなら、県としてすぐにでもできることはたくさんあります。
 例えば、県営住宅は、婚姻届けを出していない「事実婚」でも入居できますが、男性同士や女性同士のカップルは対象外です。しかし埼玉県では、同性カップルでも、双方に配偶者がなく、市町村のパートナーシップ制度に登録しているか、もしくは1年以上の同居が住民票で確認できれば入居することができます。多様性を尊重する条例をつくったのですから、千葉県でも県営住宅の入居要件を広げるべきではないでしょうか。お答えください。
 県庁の職員についても、改善できることは少なくありません。千葉県の「職員の給与に関する条例」では、事実婚のパートナーには扶養手当が支給されますが、同性パートナーは対象外となっています。結婚祝い金や死亡弔慰金、結婚休暇や忌引休暇の取得なども同じです。この改善は、知事がやろうと思えば、時間をおかずにできることです。ぜひとも決断すべきです。お答えください。
 他にも、まだまだやれることはあります。
こちらのパネルをご覧ください。議場のみなさんは、お手元の資料の2枚目をご覧下さい。

これは、埼玉県のホームページに掲載されているもので、県制度のうち、事実婚を対象にしている制度や手続きについて、同性パートナーに拡大できるかどうかを一つ一つ検証したものの一覧です。402項目について検討を行い、その結果、50項目がすでに対応済みで、検討中が209項目となっています。千葉県でも、県の制度や手続きのすべてについて、こうした点検を行い、改善すべきです。お答えください。
 多様性の尊重を実効あるものにするために大きな力になるのが「パートナーシップ制度」です。全国では20の都府県をはじめ、391自治体で制定されています。対応する人口は1億人を超えています。千葉県は9市で、その人口は6割程度であり、全国に遅れを取っています。県がパートナーシップ制度を制定することによって、全県にその波を広げることができると思いますが、答弁を求めます。
 これまで県は、多様性条例は「男女共同参画条例を含んでいる」と述べてきましたが、成立後の経過や事業内容を見ても、この条例が男女差別をなくす力を持っていないことは明らかです。県として、格差の是正や解消を明記した男女共同参画条例、ジェンダー平等条例をつくることを求めるものです。

次に、気候危機についてうかがいます。
昨年、世界は観測史上最も暑い年となり、平均気温は産業革命前と比べて約1・4度上昇し、パリ協定の目標である1・5度以内に抑える限界を突破する勢いです。しかし、国連環境計画の最新の報告書では、現在の各国の二酸化炭素の削減目標をすべて達成したとしても、今世紀末の気温は産業革命前と比べて2・9度も上昇すると警鐘を鳴らしています。
 なかでも日本は大きく遅れており、2021年の排出量は1990年と比べて約8%減にとどまっており、欧州諸国の47%から20%減と比べると大きく遅れています。しかも日本政府は、石炭火力にも固執して、G7諸国で唯一、石炭火力発電所からの撤退期限を決めていない国となっており、世界の足を引っ張っています。人類が生存し続けられるのかどうかが問われている重大な局面なのに、日本政府の姿勢は厳しく問われると思いますが、知事はどうお考えでしょうか。
千葉県内でも袖ケ浦市で、天然ガス火力発電所を新たにつくる計画が東京ガスによって進められています。これまでの環境影響評価の会社側提出文書では、年間472万トンもの二酸化炭素を出す予測となっており、千葉県の年間総排出量の7%程度に達します。大量の二酸化炭素を出すような火力発電所は、絶対に造らせるべきではないと考えますが、知事の答弁を求めます。
2019年3月に策定された「第3次千葉県環境基本計画」では、「県民・企業・行政など全ての主体が、地球温暖化の問題は一刻の猶予もない状況であることを認識した上で、…行動していく必要がある」と書かれていますが、火力発電所に対する昨年12月の知事意見では、「二酸化炭素の排出量をできる限り削減する」となっています。地球温暖化は「一刻の猶予もない」はずなのに、大量の二酸化炭素を排出する発電所の新規設置については、「できる限り」でいいのでしょうか。はっきりとお答えいただきたい。
大量の二酸化炭素を吐き出す火力発電所が造られようとしているいま、法律にもとづいて意見を言えるのは立地県である千葉県知事だけです。しかし、火力発電所が動き始めて二酸化炭素を出し続け、温暖化を加速させることになれば、その影響は日本だけにとどまらず、世界全体に影響を及ぼし、人類の行く末をも左右することになります。今回の新たな火力発電所の設置に対する知事の意見は、それだけ重い責任のあるものです。これまでの延長線上ではなく、知事として、気候危機を克服する方向に足を踏み出す決意と姿勢を求めるものですが、お答えください。
 いま千葉県がやるべきことは、再生エネルギーの普及と省エネルギーの促進です。
千葉県では、県有施設などを対象にした「千葉県庁エコオフィスプラン」を進めており、2030年度に県自身の事務事業に伴う二酸化炭素排出量を、2013年度にたいして 40%削減するとしています。しかし2021年度で12・3%しか減らせていません。これは県自身が排出しているものを減らす取り組みですから、達成出来なければ、他の事業者や県民に削減を呼びかけても説得力を持ちません。目標達成の見通しはどうなっているのか、伺います。
プランでは、太陽光発電設備を2030年までに設置可能な県有施設の50%に導入するとしていますが、なぜ100%ではないのでしょうか。設置可能な場所なのですから、100%設置すべきだと考えますが、お答えください。
民間での二酸化炭素の削減について、千葉県の目標は国より低い40%にとどまっています。これでは気候危機を打開することはできません。千葉県の排出量の56・7%を占めているのが産業部門です。とりわけ運輸貨物では減らすどころか、排出量が増えています。県内に物流倉庫が乱立していることが一つの要因とされていますが、輸送台数を減らしたり、電気自動車への切り替えを進めるとともに、せめて物流倉庫に太陽光パネルを設置するよう求めるべきだと思いますが、お答えください。
家庭部門では、排出量の32・4%が照明や家電製品などで使用する電気から出ています。これにたいして、県の補助制度がかつてはありました。

こちらのパネルをご覧ください。議場のみなさんは、お手元の資料の3枚目をご覧下さい。

太陽光パネルの設置を促進するための県の補助制度が始まった2011年度から2016年度まで、設置数は年間4千件程度で推移してきましたが、2017年度以降、新築家屋と集合住宅を対象から外したために800件程度に激減し、昨年度からは県は1円も出さない共同購入方式にしたため、わずか231件になってしまいました。地球温暖化という人類の未来がかかった重大事態ですから、思い切って予算を増やし、設置する意欲が引き出せる補助制度とすべきではないでしょうか。お答えください。

 次に武器見本市など戦争と平和についてうかがいます。
昨年3月15日から3日間、幕張メッセで「武器見本市」DSEIJapanが開催されました。
こちらのパネルをご覧ください。議場のみなさんは、お手元の資料の4枚目をご覧下さい。

これは、2019年に幕張メッセで開催されたDSEIJapanで展示されたものの一部です。銃砲(じゅうほう)を装備した装甲車や大型砲、対戦車ミサイルなど、そこに展示されていたものは武器そのものです。しかも、イスラエルの軍需企業の出展が2019年の3社から昨年は14社へと5倍近くになり、イスラエル製の自爆破壊爆弾なども展示され、軍事研究誌では「性能面においても信頼性においても、魅力的な兵器類が勢ぞろいしている」と、人の命を奪うための性能を持ち上げています。しかしその武器で、ガザではイスラエルによる無差別攻撃が行われ、何千人もの子どもたちの命が奪われています。
ところが昨年秋の決算委員会で県は、展示品について最初から最後まで「武器」だと認めませんでした。あらためて伺いますが、DSEIJapanで展示された銃砲やミサイルは武器なのか、武器ではないのか、知事の認識をごまかさずに、はっきりとお聞かせください。
県は、武器見本市への幕張メッセの貸し出しについて、地方自治法をあげて「正当な理由がない限り」施設の利用を拒んではならないからだとしています。しかし、メッセのような「公の施設」の設置目的は同じ地方自治法で「住民福祉の増進」とされています。なぜ、人を傷つけ、命を奪う武器の見本市が住民福祉の増進なのでしょうか。お答えいただきたい。地方自治法は憲法のもとで制定されています。憲法9条では、武力による威嚇さえも禁じています。その憲法の下で、世界中に武器を拡散する「武器見本市」の開催が許されるはずがありません。しかも、幕張メッセの目的は「住民福祉の増進」です。武器見本市にたいして、「公の施設」の設置目的に反するとの立場で、堂々と貸し出しを拒否すべきだと考えますが、お答えください。
 幕張メッセの設置目的は条例で、「産業の振興及び文化の発展を図るとともに、本県の国際化に資するため」と3点が示されていますが、決算委員会で「どこに該当するのか」と聞いたら、「あえて言えば、産業の振興や国際化等に資するもの」と答えました。武器を世界中に広めてすすめる産業振興や国際化などあっていいはずがないと思いますが、知事の認識をお聞かせください。
 DSEIJapanのホームページをみると来年の5月21日から3日間、幕張メッセで武器見本市を開催することが公表されています。いつ利用申請を受け付けて、いつ承認したのか、お答えいただきたい。これだけ批判を浴びている武器見本市に、これ以上、幕張メッセを貸し出すべきではありません。明確な答弁を求めます。
千葉県では、武器見本市以外にも戦争の準備ともいえる出来事が起きています。
オスプレイの木更津配備も3年半が経ちました。これまで墜落事故のたびに、県に対して、国に配備撤回を要請すべきだと求めましたが、県は拒否し続けてきました。オスプレイは、2022年3月以降、わずか1年8ヵ月の間に、ノルウェー、アメリカ、オーストラリア、そして鹿児島県の屋久島と4回も墜落事故を起こし、乗務員20人の命が失われています。県は、国の言い分をおうむ返しに、「機体に欠陥はない」と言い張ってきましたが、アメリカ自身が機体の欠陥を認め、自衛隊機も含めた世界中のオスプレイが飛行停止に追い込まれています。住民を事故に巻き込まず、自衛隊員の命を失わないためにも、県として欠陥機だと認め、国にオスプレイの配備撤回を求めるべきです。お答えください。
 自衛隊と他の国の軍隊との共同訓練も常態化してきました。1月7日に行われた第一空てい団の降下訓練始めにはNATO諸国やアジアから8カ国もの軍隊が参加しました。防衛省は、安全祈願と各国の連携を図るものとしていますが、横田基地の米空軍少佐は、「降下訓練始めは、各国の空挺部隊が集結して行う共同訓練であり、国際的なカウンターパート部隊とシームレスに連携する力を示すものだ」と述べ、軍事的な一体化のための訓練だと明言しています。米軍主導で8カ国もの軍隊と一体化を図る訓練を、千葉県内で実施させないよう国に要請すべきだと考えますが、お答えください。
 土地利用規制法も1月15日から県内で動きだしました。自衛隊基地などの周囲1kmの土地や建物の持ち主や利用者の個人情報を国が掌握し、「機能阻害行為」にたいする中止命令に従わなかった場合は2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金を科し、特別注視区域では土地の売買に届け出が必要で、違反をすれば罰則が科されるというものです。国が勝手に個人情報をつかむこと自体、許されません。しかも「機能阻害行為」の内容が極めてあいまいで、政府の思惑通りに認定できる仕組みになっています。知事として、人権を侵害する土地利用規制法の廃止を求めるべきだと考えますが、お答えください。
政府はロシアのウクライナ侵略やイスラエルのガザ攻撃を口実に、軍事力の大幅増強に乗り出しています。しかしこれで平和が守れるのでしょうか。ひとたび攻撃されたら必ず人の命が奪われます。いま必要なのは、「攻撃されたらどうする」ではなく、「攻撃されないために何が必要か」を考えることです。そのために相手の国との信頼を築くうえで最大の力となる憲法9条を前面にした平和外交を展開すべきです。知事も、県内で起きている戦争準備の動きに対して、平和を目指す立場から、ものを言うべきではないでしょうか。答弁を求めます。

 質問の最後に、船橋市内の開発についてうかがいます。
頻発し激甚化する自然災害に対応するための法改正が行われ、災害の危険性が高い地域は開発せず、人が住まないようにする方向が打ち出されました。しかし、これまで県内では災害を呼び込むような開発が行われてきています。その一つが船橋市の海老川上流域での開発です。この区域は、縄文時代には東京湾の一部だった湿地帯で、船橋市のハザードマップでも、洪水と液状化の危険区域とされており、本来、開発の手を伸ばしてはならない地域でした。ところが区画整理組合が結成され、船橋市が全面的に後押しして進められています。この開発に県は無関係ではなく、責任もあります。開発自体、様々な問題が表面化していますが、今回は、県のかかわりに絞って質問します。
 一つは船橋市立医療センターについてです。船橋市は開発を進めるために医療センターを開発区域に新築移転させて、開発を「メディカルタウン構想」と名付けて市民に受け入れさせようとしています。しかし医療センターは千葉県が3次救命救急センターに指定して、東葛南部医療圏を中心に大きな役割を担っています。その病院を、わざわざ洪水危険区域であり、液状化危険区域にもなっている場所に移転させるのは、船橋市民はもちろんのこと、圏域内の県民にも影響が出ます。船橋市は、新病院の設置にあたって敷地内は液状化対策を実施するとしていますが、病院区域外は実施しません。大地震が来たら、敷地は液状化しなくても、医療センターに来るまでの道路は液状化して救急車が病院に近づけなくなります。地震が来たら役割を果たせないような場所に病院を移すのは、小さくしなければならないリスクを、わざわざ大きくするようなものです。3次救急に指定している県として、妥当な措置だと考えているのでしょうか。明確な答弁を求めます。
二つ目は東葉高速鉄道に造られる新しい駅についてです。開発区域を横切る東葉高速鉄道に、全額、船橋市負担で新駅が造られようとしていますが、この駅の設置を船橋市に働き掛けたのは千葉県です。東葉高速鉄道は、1983年の県都市計画審議会決定を受けて路線が決定されましたが、そのときに当時の知事が船橋市に新駅設置の要望書を出しました。目的はただ一つ、周辺地域の開発です。しかし40年前より、大規模災害の発生頻度は格段に増大しています。災害を体験して知見も積み重ねられています。災害を呼び込むような開発をやめるためにも、県として40年前の要請を取り下げて、船橋市に再考を求めるべきではないでしょうか。お答えください。
三つ目は海老川の「治水対策」です。2年前の県都市計画審議会で船橋市の開発区域を市街化区域に編入する決定が行われました。そこには「船橋市に下流の浸水予測をシュミレーションして住民に説明し理解を得ること」という異例の付帯意見が付けられました。現在、自然の調節池の役割を果たしている開発区域に土砂を入れて盛土すると、下流部に水があふれる可能性があるとの指摘を受けたものです。これを受けて船橋市がシミュレーションを行いましたが、一部地域の洪水危険性が増すという結果となりました。県の審議会の意見にもとづくシミュレーション結果は、開発の無謀さを示していると考えますが、県の認識をお聞かせください。海老川は県管理河川ですが、1時間に30mmの雨しか受け止められません。県は、船橋の開発を後押しするかのように、川底を掘り下げるとしていますが、計画している調節池の整備はまったく見通しが立たず、川を掘っても50mm対応にはなりません。治水に責任を負う千葉県として、船橋市に開発の根本的な見直しを働きかけるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

以上で、1回目の質問を終わります。