【2022年6月県議会】日本共産党 加藤英雄県議 議案・請願討論

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【2022年6月県議会】日本共産党 加藤英雄県議 議案・請願討論

 日本共産党を代表し、議案、請願の主なものについて討論を行います。

 まず、議案についてです。議案第5号は、今年度の診療報酬改定により、千葉県こども病院を紹介状なしで受診する場合の定額負担、非紹介受診料の基準額を10月から増額しようとするものです。

 一定規模以上の医療機関を紹介状なしで受診する場合、初診時、または再診時の定額負担は、2016年4月の診療報酬改定時に「選定療養費の義務化」として制度化されたものであり、初診時5,500円、再診時2,750円の負担額が設定されてきました。

 今回の増額改定は、昨年12月の財政制度審議会の「建議」に起因するものです。建議では、紹介状なしの患者の場合、「診療報酬から一定額を控除し、それと同額以上の定額負担を患者に求める」としています。ですから、医療機関の収入は変わらず、医療給付費を抑えた分、患者負担が増えることになり、到底、認められるものではありません。

 県は「かかりつけ医を支援するもの」などと言っていましたが、財政制度審議会の「建議」では、法律に基づく認定「かかりつけ医」の制度化が盛り込まれ、診療報酬上の評価も、受診回数や医療行為の回数による出来高払いより包括払いがなじむとしています。そうなれば、認定「かかりつけ医」かどうかで、診療報酬に差がつけられ、開業医の選別と淘汰につながりかねません。日本医師会の中川会長も「医療費抑制のために国民の受診の門戸を狭めるということであれば認められない」と批判しています。

 コロナ禍でも明らかになったように、医療・社会保障の予算を抑制・削減する流れは根本から見直すべきであり、本議案に反対いたします。

 議案第12号は、追加提案された一般会計補正予算(第一号)です。急激な物価高騰が県民のくらしと中小業者の営業を直撃しているもとで、低所得者への支援や、畜産農家への支援金の給付などが盛り込まれた今回の補正予算に異論はありません。しかしこれは経済対策・支援策としてのほんの一歩であり、さらなる拡充が求められています。県も「必要な対策を臨機応変に講じていく」としており、そこで、ただちに講ずべき対策として2点述べます。

 1点目は、5月で打ち切られた、無料のPCR等一般検査事業の再開です。確かにいま、第6波の時から見れば、新規感染者数は減少していますが、ここにきて減少のスピードは鈍化し、収束はいまだ見通せないのが現実です。昨年末から開始された一般検査事業では、5月中旬までに約24万人の検査を行い、1万3千人余の方々の陽性が明らかとなっています。この方々は、ほとんど自覚症状のない、いわゆる無症状感染者です。ということは、いまこの瞬間にも、県内各地で普通に社会活動を営んでいる県民の中にも無症状感染者が存在しているということです。コロナウイルス感染症の厄介なところは、まったく自覚のない無症状感染者が感染源となって拡大させていくことです。検査によって感染源を特定し、保護・隔離によって感染を封じ込める、この感染症対策の基本に立って、ただちに無料の一般検査事業を再開させるべきです。

 2点目は、物価高騰に直面している学校給食費への支援です。今議会でも「学校給食費の無償化」が議論となりました。知事は本会議で「保護者の負担を軽減するため」「国の経済対策の活用も視野に」検討すると述べられた、しかし学校給食費負担への支援は盛り込まれていません。「無償化の制度設計」の前に、いま緊急に求められているのは、現実に食料品等の値上げが続いている中で、保護者の負担をいかに軽減していくかです。すでに5月、県立特別支援学校3校で給食費が値上げされています。鳥取県では食材費の高騰に対し、前年度比での値上がり分を県が補填する補正予算が示されています。ことは急を要します。ただちに具体化すべきです。

 次に請願についてです。請願第51号は、来年10月から実施予定の適格請求書等保存方式、いわゆるインボイス制度の廃止を求め、国への意見書の提出を願うものです。インボイス制度は、これまで消費税納税の義務がなかった、年間売り上げ1000万円以下の事業者に納税義務を負わせ、経済的・事務的負担増を強いるものです。商店や飲食店だけでなく、個人タクシーや大工の一人親方、フリーランスで働く人々など、対象は数百万人にも及びます。

 コロナ対策として実施された納税猶予の1.5兆円の6割は消費税です。税の滞納の新規発生額0.7兆円の6割も消費税です。零細事業者やフリーランスを苦しめるインボイスの導入はただちに中止すべきであり、本請願の採択を求めます。

 請願第52号は、国に対し、消費税5%への引き下げの意見書の提出を求めるものです。コロナ危機による景気の低迷、生活の困難が長期に及んでいるところに、ガソリン、食料品、電気・ガス料金をはじめとした物価の高騰が襲いかかり、暮らしと営業は、いま深刻な打撃を受けています。消費税減税は、物価高騰から暮らしと営業を守るうえでも、日本経済を強くするうえでも、今、一番求められている緊急対策です。一つには、消費税減税は、食料品、水光熱費など生活必需品を中心に、あらゆる分野で値上げラッシュが起きているもとで、もっとも効果的な物価対策となります。二つに、日本経済の5割以上を占める家計消費と、企業数で99%を占め、日本経済の屋台骨である中小企業を応援し、地域経済を活性化させることにつながります。三つには、消費税を減税することは税の不公正をただし、格差を是正する大きな一歩となるものです。

 すでに、世界、89の国と地域で消費税にあたる付加価値税の減税に踏み切っており、日本でできないはずがありません。本請願を採択し、暮らしと営業を応援する経済へと切り替える意思を示そうではありませんか。

 請願第53号は、子ども医療費の対象年齢の拡大など、助成制度の拡充を求めるものです。すでに県内のすべての自治体が、通院助成は中学3年生まで拡大していますが、県の制度は依然として小学3年生までにとどまったままです。県が打ち出した拡充策は、同一の医療機関で通院が、月5回を超えた場合、県の負担によって無料にするというものですが、対象となる推定件数すら明らかにしていません。小手先だけの改良にとどめず、少子化対策でもあり、子育て世代の願いにこたえ、対象年齢を思い切って拡大すべきです。本請願の採択を求め、討論を終わります。