【2022年6月県議会】 みわ由美県議 意見書(案)の趣旨説明 

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【2022年6月県議会】 みわ由美県議 意見書(案)の趣旨説明 

「憲法9条を生かした外交努力による、ロシアのウクライナ侵略戦争早期終結と東アジアの平和の枠組み構築を求める意見書(案)」の趣旨説明 

 日本共産党を代表して、発議案第13号「憲法9条を生かした外交努力による、ロシアのウクライナ侵略戦争早期終結と、東アジアの平和の枠組み構築を求める意見書」について、趣旨説明を行います。

 最初に述べておきたいのは、意見書案にあるように、内外の人たちが強く願っているロシア・プーチン政権によるウクライナへの侵略戦争をどう終わらせるのか、です。2月県議会の決議では、ロシアの国際法の深刻な違反に対して「国際社会と連携し、あらゆる外交手段を駆使」するとしています。意見書案も「侵略やめよ」「国連憲章守れ」の一点で、世界が固く力を合わせ、国際世論でロシアを包囲することを指摘しています。ここに注目していただきたいと思います。

 なぜなら、バイデン米国大統領は「民主主義対専制主義のたたかい」と言い、岸田首相も「価値観」を共有する米国など主要7か国主導の秩序回復を前面に掲げているからです。このように世界を二つに分けてしまったら、解決の道が見えなくなるのではないでしょうか。いま大切なのは、あれこれの「価値観」で世界を二分するのではなく、「ロシアは侵略をやめよ」「国連憲章守れ」の一点で世界が団結することです。シンガポールのリー・シェロン首相も「民主主義対専制主義の問題とは言わない。ウクライナで危うくなっているのは国連憲章だ」と指摘しています。

 次に強調したいのは、東アジアの平和、戦争のない世界をどうつくるか、です。ウクライナ危機に乗じて、「防衛力増強」「核には核」などの大合唱が起こっています。しかし「力対力」の対決の先に平和はありません。東アジアと世界に新たな軍事的緊張を招き、「軍事対軍事」の危険な悪循環をつくりだします。それは戦争への道に他なりません。

 ところが5月23日の日米首脳会談では「日米同盟の抑止力、対処力の強化」が強調され、岸田首相は「日本の防衛力を抜本的に強化する」と述べ、「敵基地攻撃能力」「反撃能力」と言い換えましたが、この保有検討に言及し、軍事費の「相当な増額」をアメリカに誓約しました。これは極めて重大です。

 第一に、いわゆる「専守防衛」の放棄です。「敵基地攻撃能力の保有」は、「相手国に脅威を与えるような攻撃的兵器の保有は憲法上できない」としてきた、これまでの憲法解釈を百八十度覆す、無法なものです。政府は、集団的自衛権行使の際にも使えるとしており、日本が攻撃されていないのに、米軍が軍事活動を始めたら、自衛隊が米軍と一体になって相手国に「敵基地攻撃能力」を使って攻め込み「指揮統制機能等」国家中枢まで攻撃することになる。結果、相手国の大規模な報復を呼び、全面戦争となり、日本に戦火を呼びこむことになる、ここにこそ日本が直面する最大の現実的な危険があるではありませんか。憲法9条のもとで許されないことは明白です。

 第二は、「力対力」この道は、途方もない大軍拡と暮らしをおしつぶすということです。軍事費を5年以内にGDP比2%以上の年間約11兆円に増額するという勢力がありますが、その財源はどうするのか、何も明らかにしていません。首相も、財源は「検討する」というだけです。しかし、この大軍拡の財源を確保しようとしたなら、さらなる消費税の大増税か、社会保障の大幅削減しかないではありませんか。それとも、安倍元首相のように、将来の世代にツケを残す国債、借金で賄う、とでも言うのでしょうか。国民生活犠牲、軍事優先、としか、いいようがありません。

 最後に、意見書案にある東アジアの平和の枠組みづくりについて述べます。

「9条で平和が守れるのか」「攻められたらどうするのか」との議論もありますが、しかし、「攻められたらどうするのか」ではなく「攻められないようにどうするのか」に、知恵と力を尽くすのが政治の役目ではないでしょうか。

 戦争を起こさないために、政府は9条を生かした平和の外交戦略を持つことが必要です。すでに、ASEAN(東南アジア諸国連合)は、ASEAN10か国と日本、アメリカ、中国など8か国で構成する東アジアサミット(EAS)を強化し、「紛争の平和的解決、武力行使と威嚇の放棄」の原則に即して、「対抗でなく対話と協力の地域」に、ゆくゆくは東アジア規模の友好協力条約を展望しようと壮大な構想-ASEANインド太平洋構想(AOIP)を明らかにしています。まさに憲法9条の精神に合致するものです。

 日本政府は、紛争の平和的解決を安全保障の第一にすえ、ASEANと手を携え、AOIPを本気で推進する。軍事ブロックのように外部に仮想敵国を設ける排他的な枠組みではなく、アジア規模での集団安全保障の仕組みをつくりだす平和外交が求められています。

 これはヨーロッパでの教訓を生かす道でもあります。ヨーロッパでは、ソ連崩壊後、欧州安全保障協力機構(OSCE)というロシアと全ヨーロッパの国々を含めた包摂的な枠組みがつくられ、OSCEを「紛争の平和的解決のための主要機関」に定めました。しかしこの機能は生かされず、NATO(北大西洋条約機構)諸国もロシアも、軍事力によって相手の攻撃を「抑止」するという戦略をすすめ、「力対力」に陥ってしまったのです。

 ウクライナ侵略の責任は、あげて国連憲章を蹂躙したロシアにあり、ロシアの侵略を免責することはできませんが、戦争という悲惨な結果になった背景には、「力対力」に陥った外交の失敗があった、ヨーロッパから引き出すべき最大の教訓があると考えます。よって、憲法9条生かした外交努力によって東アジアの平和の枠組みをつくることこそ、日本の進む道だと重ねて強調しておきます。

 以上、ロシアのウクライナ侵略の一日も早い終結と、戦争の心配のないアジアと世界をつくるため、議場の皆さまのご賛同を、心から求めるとともに、日本共産党は自由と平和のため全力を上げる、その決意を申し上げ、趣旨説明といたします。