お知らせ
「特定利用空港・港湾」の枠組みを受け入れないよう求める申し入れをしました
「特定利用空港・港湾」の枠組みを受け入れないよう求める申し入れ
千葉県知事 熊谷俊人 様
2026年10月1日
日本共産党千葉県委員会
同 千葉県議団
5月18日、千葉港・木更津港を「特定利用空港・港湾」の対象候補として検討している旨の説明が国から千葉県にたいして行われ、7月29日には関係9市(※)にたいしても行われました。(※市川・船橋・習志野・千葉・市原・袖ヶ浦・木更津・君津・富津)
国の説明では、「特定利用空港・港湾」は自衛隊・海上保安庁が平素から必要な空港・港湾を円滑に利用できるようインフラ管理者との間で「円滑な利用に関する枠組み」を設けるものとされており、その対象になれば、自衛隊等が日常的に千葉港や木更津港を使用することになるのは明らかです。
この仕組みづくりが浮上したのは、2022年12月のいわゆる安保3文書の改定時に、その中の一つである「国家安全保障戦略」に「自衛隊・海上保安庁による国民保護への対応、平素の訓練、有事の際の展開等を目的とした円滑な利用・配備のため、自衛隊・海上保安庁のニーズに基づき、空港・港湾等の公共インフラの整備や機能を強化する政府横断的な仕組みを創設する。あわせて、有事の際の対応も見据えた空港・港湾の平素からの利活用に関するルール作り等を行う」と位置付けられたことが始まりです。
これを受け入れれば千葉港・木更津港の港湾管理者である千葉県が、防衛省・海上保安庁・国土交通省と「確認事項」を交わすことになりますが、国が概要として示しているものを見ると、「武力攻撃事態」ではなくても「緊急性が高い」と認定されれば「自衛隊・海上保安庁が柔軟かつ迅速に施設を利用できるよう努める」とされています。
国では、この枠組みは有事の利用を対象としているものではないとしていますが、これらの国の文書を見れば、有事やそれに準ずる事態のときに千葉港や木更津港が自衛隊の出撃拠点にされることは明白であり、その結果、他国の攻撃の対象になる可能性が極めて高くなります。国は、「枠組みが設けられた後も…、そのことのみによって、当該施設が攻撃目標とみなされる可能性が高まるとはいえません」(説明資料)としていますが、この枠組みは「有事」に連動したものであり、出撃拠点が攻撃にさらされることは常識です。説明資料でも「攻撃目標とみなされる可能性が高まるとはいえない」と述べている前提として「そのこと(特定利用空港・港湾の枠組み)によってのみ」と制限をかけており、他の条件が重なれば攻撃対象になる可能性を否定していません。実際に枠組みを定めれば、それに連動して「有事」やそれに準ずる事態で港湾がほぼ強制的に使用されることになり攻撃対象になるのは明らかです。
説明資料では、攻撃される懸念にたいして、自衛隊等の利用によって「抑止力」や「対処力」が高まるので、攻撃の可能性を低下させるとしています。しかし、相手国との関係で考えれば、自衛隊が特定の空港や港湾を使えば使うほど、自国を攻撃させないためにその空港や港湾を破壊しようとするのは明白です。そもそも「攻撃能力が高まれば相手が攻撃してこなくなる」という「抑止力」という考え方自体、大きな問題をはらんでおり、こちらが攻撃能力を高めれば、相手はそれを上回ろうとして、より緊張関係が高まることになります。日本への攻撃の可能性を低下させるためには、外交努力以外にあり得ません。
また説明資料では、「この枠組みは、自衛隊・海上保安庁の優先利用のためのものではありません」としていますが、「自衛隊等のニーズ」にもとづいて円滑な利用のために調整することは、事実上、他の船舶より優先して利用できるようにすることにほかなりません。
「特定利用空港・港湾」では自衛隊などが訓練を実施することになり、「火工品や弾薬の積卸し」のために利用することもあるとしており、安全が脅かされ危険が増すことになります。
枠組みを受け入れれば、米軍が千葉港や木更津港を使用することになる可能性も否定できません。国は、空港や港湾で行われる訓練には日米共同訓練も含んでいると述べています。一方、「特定利用空港・港湾」の枠組みにおける利用調整の対象は自衛隊であって、米軍についてはこの枠組みで調整することはないとしています。しかし、共同訓練である限り米軍が港湾を使用しない保証はなく、この枠組み以外で米軍の使用を調整することは十分考えられます。
国は、「特定利用空港・港湾」になることについて、災害時の大型船舶による緊急物資輸送などを例に、災害時の対応能力が高まるかのように描いていますが、災害対応能力を高めることは、「特定利用空港・港湾」になるかならないかにかかわらず進めていかなければならないものです。
「特定利用空港・港湾」の枠組みには、自衛隊等の円滑な利用のための「整備または既存事業の促進」および「アクセス向上に向けた道路ネットワークの整備」が含まれています。「民生利用を主としつつ」とされていますが、整備や事業促進の動機が自衛隊等の円滑な利用のためとなれば、利用についても予算の使い方も歪んでくる可能性を否定できません。しかも国では、「民生利用を主とするものであるため、…これまでどおり国とインフラ管理者等がそれぞれ必要な費用を負担することとなります」(Q&A)としています。自衛隊のニーズにもとづいて実施する整備事業であるにもかかわらず財政負担はしないというのは、どう考えても筋の通る話ではありません。
以上のとおり、千葉港と木更津港を「特定利用空港・港湾」として受け入れることは、千葉県と県民にとって「百害あって一利なし」です。よって国の要請を受け入れないよう強く求めます。




