千葉県袖ケ浦福祉センター廃止の撤回を求める申し入れを行いました

提言・要望

千葉県袖ケ浦福祉センター廃止の撤回を求める申し入れを行いました

 千葉県が障害児(者)の施設である、千葉県袖ケ浦福祉センターを2022年度末までに廃止するとしたことをに対し、日本共産党千葉県議団は廃止撤回を求める申し入れを行いました。

                          2020年10月2日

千葉県知事 森田健作 様

日本共産党千葉県議会議員団

千葉県袖ケ浦福祉センターの廃止の撤回を求める申し入れ

 千葉県は、千葉県袖ケ浦福祉センターについて、2013年の職員による入所者暴行死亡事件を受け、外部の「第三者検証委員会」や「見直し進捗管理委員会」などを設置し、見直しを進めてきたが、8月31日、同センターを2022年度末までに廃止することを公表した。同センターは「知的障害者及び知的障害児の福祉の向上を図る」(設置及び管理条例)ために設置された県立施設で、更生園(障害者支援施設)、養育園(福祉型障害児入所施設)などで構成され、2006年から社会福祉法人千葉県社会福祉事業団が指定管理者となり、管理運営されている。
 県は、重度の強度行動障害のある方への支援について、「各地域で必要な支援が受けられるシステムを構築する」ことをもって、同センターの「県立施設としての役割は終息する」との「検討会議」の意見などを廃止の理由にあげている。しかし、2016年7月に県行政改革推進本部が策定した「公の施設見直し方針」において、同センターは、その対象となっており、背景に「行革」があることは明らかである。福祉を行革の対象にすることは断じて許されない。
 重度の強度障害者に対する様々な支援を「公の施設」から「民間の施設」に直結させることは甚だ疑問である。たしかに「検討会議」などの議論では、「民間での受け入れ可能」が強調されているが、「県立」施設の存在そのものが不要、全面否定された、というわけではない。
 同センターの廃止および利用者全員の民間施設への移行は、利用者と家族の十分な理解と納得が得られているのか、意向に沿った施設・グループホームに移れるのか、いままでと同様の支援が確実に受けられるのか、費用負担が増えるのではないか、など数々の問題が懸念される。現に、県から紹介された移行先を確認に行った方からは「更地だけ見せられ、施設(グループホーム)はこれから建てる。費用も数万円も上がる。職員人数などもわからない。それなのに今月中に申込書を書くように言われた」と、怒りの声が寄せられた。あまりにも利用者を無視した強引なやり方である。
 また、同センターの職員の雇用確保など、その処遇が事業団まかせになるのではないか、危惧される。
 にもかかわらず、同センターの廃止を強行すれば、廃止「先にありき」との批判は免れず、到底認めることはできない。
 あらためて指摘するまでもなく、地方自治体である千葉県の責務は「住民の福祉の増進を図ること」(地方自治法)にある。重度の強度行動障害者に対する支援度判定や短期入所先調整・決定、民間施設・グループホームへの一定程度の補助など行う「支援システム」(暮らしの場の支援会議)を構築するだけで、県がその責任を果たしているとは言えない。
 よって、個々の利用者・家族の意思に叶う選択肢を確保し、最善の環境を整えるため、以下の事項を申し入れるものである。


【申し入れ事項】


1.千葉県袖ケ浦福祉センターの廃止方針は、いったん凍結し、再度、抜本的見直しをおこなった上で、撤回すること。


2.同センターは県立施設として存続し、老朽化している施設を建替えること。その際、少人数ケアへの転換も可能となる小舎制導入や十分な職員配置、研修を行うこと。


3.民間施設に対する財政的支援も拡充すること。


以上

申し入れ書を手渡す(左2人目より)加藤英雄県議、浅野ふみ子党県副委員長、
寺尾さとし前県議、みわ由美県議