【2020年9月県議会】日本共産党 みわ由美県議 議案・請願討論

政策

【2020年9月県議会】日本共産党 みわ由美県議 議案・請願討論

 日本共産党を代表して、議案と請願の主なものについて討論します。

まず議案第1号一般会計補正予算についてです。新型コロナウイルス感染症対策に係わる患者受け入れのための病床補助上乗せや、県中小企業再建支援金の継続・拡大等は、わが党も求めてきた県民の願いの反映です。これに異論はありません。さらに県の方針として、無症状者も含めた陽性者を積極的に見つけ出すPCR検査等の抜本的な検査体制強化を、重ねてつよく求めます。

しかしどうしても看過できないのは、重度の強度行動障害者・児を支援する唯一の県立施設「袖ケ浦福祉センター」の廃止を前提とした予算が組みこまれていることです。既に2022年度のセンター廃止を打ち出し、入所者の民間へのあっせん等が始まっています。

ところが先日、県から移行先を案内された利用者のご家族から「更地だけ見せられ建物はこれから、費用も今より上がる、土日はご自宅でと言われ、9月中に申し込み書を書けと迫られ驚いた」と、悲痛な訴えが寄せられました。「やっと袖ケ浦福祉センターで受け入れてもらい、落ち着いていたのに」と他の保護者らも含めここを残してほしいという声は強いと語っています。また、現在のセンター職員からは「断らない、投げ出さない。県立ならではの福祉の役割を果たしてきた」「我々は誇りをもって県立施設を選び働いている。ここを失くしてしまうのは断固反対」等の声が寄せられています。この声にこそ正面から向き合うべきです。

県は、大規模施設への一極集中が虐待死事件の一因だ、今後は民間での受入促進へ新たな支援システムをつくると言います。しかし、センター廃止の背景に「公の施設の見直し方針」があることは明らかです。行革先にありきで福祉に大鉈を振るう、ましてや福祉センター廃止に突っ走るなど、地方自治体の責務「住民の福祉の増進」を投げすてるものであり、断じて許されるものではありません。よって本議案に反対します。

次に議案第6号は、県立救急医療センター及び精神科医療センターを「(仮称)千葉県総合救急災害医療センター」に統合する建設工事費の設定です。

そもそも本計画は「総務省の新公立病院改革ガイドライン」を踏まえた「千葉県立病院新改革プラン」に基づくもので、効率化や将来的な経費削減、独立行政法人化など経営形態の見直し検討が明記されております。私は、両病院長からお話を伺いましたが、建替えや設備機器更新による機能充実と併せ、医師スタッフの人員増など体制強化への要望が強く語られました。いまやるべきは効率化や経費削減ではなく、充実強化ではありませんか。

しかも病院局が企業局から購入した建設予定地を視察したところ、海岸から僅か百メ一トルのため、液状化等災害対策費として補正含め9億円も工事費が膨らんだ事実が明らかになりました。県は、災害医療センターの候補地はここしかないと強弁しますが、本当にこの土地しかないのでしょうか。公的医療の後退につながり、用地の適正についても疑念が晴れない本議案には、反対します。

次に議案第16号は、現行の5つの青少年教育施設の名称を「青少年自然の家」に変更し、加えて2026年に現在の東金青年の家を廃止しようとするものです。

2013年には県社会教育委員会議から、「地域の学校や社会教育団体等にとってなくてはならない存在となっていることから、今後も5か所の県立青少年教育施設を維持発展させるべき」との答申がされていたのに、なぜ縮減か。引き金となったのは、2016年の「公の施設の見直し方針」です。この時から廃止ありきで事が進められてきました。青少年の健全な育成を図るための施設を、行革の対象にするなど、断じて認めるわけにはいきません。よって本議案に反対いたします。

新型コロナ危機の体験を通じて明らかになったのは、人は一人では生きていけない、社会の力、とりわけ、福祉や医療、教育に対する国や自治体の公の支えが不可欠だということです。障害者施設の廃止、県立病院の統合、青少年教育施設の廃止に突っ走る県政は認められません。

次に請願についてです。請願第20号は、県内4つの大学の学生有志が、国に対し、コロナ禍での現行の学生への支援策について実態調査と、更なる支援を求めるものです。

コロナ蔓延のもと、いま学生たちの「学び」が脅かされています。同時に生活困窮も極めて深刻で、大学での学びをあきらめる事態が広がっています。政府が打ち出した「学生支援緊急給付金」は要件が厳しく、大学生協連の7月の緊急アンケートでは、6割の学生が「何も受給していない」と回答しています。支援策の拡充は待ったなしの課題です。本請願を採択し、県内の学生たちの願いに応えるべきです。

次に請願第23号は、2018年3月31日以前に生活保護を開始した世帯にも、エアコン購入・設置費用と冷房利用に伴う電気代への県補助を求めるものです。

他の自治体では、国のコロナ対策交付金を活用した助成が始まっていますが、千葉県にはありません。新型コロナウイルス感染症対策による外出自粛が増える中、室内での熱中症の危険が高まり、全国で命を落とす人が相次いでいます。

憲法25条の健康で文化的な最低限度の生活を保障するためにも、本請願の採択をつよく求めます。

最後に、請願第27号は、国の責任による「20人学級」を展望した、少人数学級への前進を求めるものです。

コロナ危機のもと、この半年間、少人数学級を求める声と運動は、劇的な広がりを見せています。この間、日本教育学会などが、相次いで教員増などの施策を打ち出し、全国知事会なども3者連名で緊急提言を発しています。さらに7月、12名の教育研究者有志が呼びかけた、「早急に30人学級、その後速やかに20人程度の学級へと移行」の署名はまたたく間に全国に広がっています。

 文科省も来年度予算案の概算要求に少人数学級の検討を盛り込みました。あと一歩です。本請願を採択し、千葉県議会としての少人数学級実現を望む意思を、政府に示そうではありませんか。

以上、申し述べ、討論といたします。