【2023年12月県議会】日本共産党 浅野ふみ子県議 一般質問

政策

【2023年12月県議会】日本共産党 浅野ふみ子県議 一般質問

 市川市選出、日本共産党の浅野ふみ子です。

 初めに「千葉県多様性が尊重され誰もが活躍できる社会の形成の推進に関する条例(案)」について質問します。「多様性の尊重」は当然です。9月に公表された骨子案には、県内外から669人1279件もパブコメが寄せられました。ところが条例案は、一言一句変わっていません。ガッカリした等々、失望の声が湧き出ています。一体、何のためのパブコメだったのか。知事は「元々、想定していた考え方」だったと言いますが、それじゃ、初めから意見聴取する意味がないじゃありませんか。先ず、お答え下さい。
 パブコメで多くの方が、「『活躍』『活力』などの言葉が目立つが、『人権尊重』が土台にあってこそ、誰もが自分らしく生きられ活躍できるのでは」との意見を寄せています。ところが県は、条例に「あらゆる人が差別されることなく、一人ひとりが様々な違いがある個人として尊重される社会をつくっていく必要がある」と示しただけです。女性団体との懇談の場で県は、「いろいろ議論があるので『人権』は入れなかった」と明言しました。だとしたら、知事、「人権尊重」は、多様性尊重の土台であり、大前提だと考えていないのですか。「人権尊重」も明記しない「多様性条例」で、果たして実効性を担保できるのか、県民が不安に思うのは当然ではありませんか。其々、お答え下さい。
 また、パブコメの「条例案は、男女共同参画条例の代わりになり得ない」との多数の意見に、県は、基本理念の「男女のいずれもが、性別を理由とする不利益を受けることなく…」の部分が、男女共同参画条例を包含などと強弁しています。これが条例を切望する女性や県民への回答ですか。ならばお聞かせ下さい。そもそも、国の男女共同参画社会基本法は、男女の人権尊重、政策立案などへの共同参画、家庭生活と社会活動の両立などを、謳っています。条例案のどこに包含されているのか。一つ一つ根拠をお示し下さい。理念条例と言いながら「共同参画」も「男女平等」も「差別禁止」もない、これで県民の理解が得られたとお考えなのか。お答え下さい。
 また、パブコメでもよせられ、いま世界で大きな流れとなっているジェンダー平等の実現や、性的マイノリティ、いわゆるLGBTQ+への差別解消についても、伺います。私は、産むか産まないか、いつ・何人子どもを持つかを自分で決める、性と生殖に関する健康と権利=セクシャル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツや、暴力と安全確保など、8つの概念の包括的性教育の実践が必要だと考えます。最新の科学的根拠と人権を基盤にした、多様性とジェンダー平等の学びは、あらゆる差別をなくし、多様性を尊重するためには、不可欠ではないでしょうか。県行政の役割は重要です。その自覚と方策はお持ちですか、お聞かせ下さい。
 この問題の最後に指摘したいのは、わが党の9月議会代表質問で、知事が「多様性尊重の理念」を県政のあらゆる分野に浸透させれば、差別や生きづらさがなくなる、と答弁したことです。浸透だけで解消するとは、到底、思えません。
 我が国における男女差別、男尊女卑の考えは、明治時代以降に形成されたものです。明治時代に強化された「男性が主、女は従」「女性は結婚したら家に入る」など家父長制の日本を「美しい国」だったと考える人たちが政権の中枢に座っていること。さらに女性を安上がりの労働力として利用したいという、財界の意向のままに歴代の政権が女性差別の構造をはびこらせてきたこと。この2つの大問題を断ち切るためには、県民の共同と、県の具体的な粘り強い取り組み、覚悟が必要です。知事は、その認識を、お持ちですか。お答えいただきたい。条例案をいったん取り下げ、こうした角度から、抜本的に見直して、再提出すべきです。知事の見解を、伺います。

 次に暮らしを守る経済対策と県職員の働き方に関して伺います。

 臨時国会の冒頭、岸田首相は30年来の「コストカット型経済」からの「脱却」を表明しました。長期に渡る「コストカット」によって経済の停滞と後退を招き、暮らしの困難が続いているところに物価高騰が襲った、ここに国民の生活苦の深刻な実態があります。
 では何がコストカットされてきたか。1つに労働法制の規制緩和で非正規雇用を拡大した人件費カット、2つに消費税増税、一方で法人税は減税という法人税カット、3つに社会保障制度の連続改悪・企業の社会保険料カットであり、いずれも財界・大企業の利益のための「コストカット」を続けてきた自民党政治によってもたらされたものです。そこで伺います。自民党政治によって長年「コストカット型経済」が進められてきた、ここにこそ今日の日本経済の後退・衰退の最大の要因があると思うが、どうか。
 最大の問題は、働く人、賃金をもコストカットの対象にしてきたことです。働く人をコスト扱いし、簡単に切り捨てられる非正規を拡大し、雇用が破壊されてきました。その結果、長期にわたって実質賃金は減り続け、暮らしが追い詰められてきたのが実態です。
働く人をコスト扱いし、賃金のコストカットは絶対にやるべきではない、ただちに改めるべきと思うが、知事の認識をお答えください。
 では、公務の職場、千葉県ではどうか。千葉県でも非正規職員拡大の流れが加速しています。13年間で見ると、2010年度、知事部局の職員総数は8,814人でした。これが昨年度は9,745人と、931人約1割増となっています。一方で、時間外手当を除いた人件費の決算額は、13年前の803億円から、昨年度は703億円と100億円も減っています。職員は増えているのに人件費はマイナス、この要因の一つは、非常勤職員の拡大、中でも1.7倍にもなっている週29時間勤務のパートタイム会計年度任用職員の増加によるものと言えます。そこで伺います。自治体業務の専門性・継続性・平等性・公平性を担保するためにも、「常勤職員が基本」の雇用へ転換すべきと思うが、どうか。お答えください。
 増加している週29時間パート職員の処遇改善も急務です。一般事務補助で経験1年未満の場合、時給1044円と最低賃金ギリギリで、報酬は月131,200円程度、生活できる賃金とは到底言えません。時給1500円へ引き上げれば、月約19万円となります。ただちに時給1500円まで引き上げ、生活できる賃金を保障すべきと思うがどうか、お答えください。
 さらに深刻なのは児童相談所の夜間生活指導員の処遇です。勤務時間は午後5時から翌朝の8時半までで、拘束15.5時間、実働9時間で報酬は1回9600円。時給に換算すれば1067円と最低賃金はクリアしているものの、コンビニの深夜バイトより低い。だから夜間生活指導員は定員の65%程度、42名も不足しているのが現状です。そこで、児童相談所の夜間生活指導員の報酬を抜本的に引き上げるべきと思うが、どうか、お答えください。
 昨年度から男女の賃金格差が公表されており、知事部局の男性給与に対する女性給与の割合は84.3%、総合企画部では71%でした。勤続16年から20年で、年約69万円もの男女の賃金格差が生じています。
 県の「女性職員活躍推進プラン」では、「すべての女性職員が、その役職や職場を問わず個性・能力が発揮されることをめざす」としています。であるならば、安心して職務に専念できる給与、制度、処遇へと改善していくことが必要です。そこで伺います。同一価値労働同一賃金、均等待遇が当たり前とする処遇の改善は急務であり、男女の賃金格差を是正すべきです。ご答弁下さい。

 次に高齢者の命と尊厳を守る介護について伺います。

 介護を社会で支える目的をかかげ、2000年に介護保険制度が導入されてから23年。国は「軽度」者からのサービスの取り上げ、利用制限、利用料「1割」から「2割」「3割」へ引き上げ、介護施設の食費・部屋代の負担増、保険料の値上げなどを連打し、介護離職や介護疲れによる痛ましい事件なども後を絶ちません。由々しき事態です。
これでは「保険あって介護なし」と批判されても当然です。知事もそう思いませんか。国に制度改悪、利用者の負担増を中止するよう求める必要があります。ご答弁下さい。
 たとえば県内の特養ホームの入所希望者は7月1日現在1万2318人もいます。深刻なのは独居と高齢者のみ世帯あわせて3628人いることです。このうち独居の要介護度5は287人、高齢者のみ世帯、いわゆる老・老介護は326人。入所したくてもできないのです。そこで伺います。「介護の社会化」、高齢者本人や、家族の「尊厳」は保障されているなどと到底言えません。所見をお聞かせ下さい。
 県は、特養ホーム創設などに要する経費として一床あたり450万円助成しています。今年度676床分を見込んでいますが、10月末現在の申請は196床に過ぎません。県はもっぱら物価高騰の影響と言います。確かに建築資材などの値上げの影響は否定しませんが、しかし、果たしてそれだけが主要な要因なのでしょうか。せっかくの先進的な、全国3番目の助成制度が十分にいかされない要因がどこにあるのか、しっかりと分析して、対策を講じる必要があると考えます。いかがですか。
 私は、特養ホームの整備を市町村任せにしている県の姿勢を改める必要があると思います。2022年度、23年度の県の整備計画数は2743床で、入所希望者を解消できるものになっていません。その整備数は1706床。計画数よりも1000床以上も少ない。県の計画数が市町村の計画数を積み上げただけではダメだということです。県の責任で、お金があってもなくても、貯蓄がなく年金だけで暮らしている高齢者世帯でも、希望すれば特養に入所できるようにするべきだと思いますが、県のお考えをお聞かせ下さい。
 もう一つは、介護労働者の待遇改善です。特養ホームの建物だけつくっても、そこで働く職員を確保できなければ特養ホームは機能しません。県内の介護関係者からは「給与をあげて人材確保したい。でも経営が厳しく費用がだせない」との訴えが寄せられています。必要な人手を確保できないことが大きなネックになっています。
 今年度も県は、介護人材対策にとりくんでいますが、肝心の職員の待遇改善は後景においやっていませんか。県の説明によれば、2022年度、介護労働者の賃金は全産業平均の月34万円より8万2000円も少なく、特養ホームの常勤で24万6750円、非常勤は17万1820円に過ぎません。国が公費負担を増やすべきです。そのうえで、わが党は、介護3施設職員の待遇改善のため当初予算組替えを提案しましたが県としても待遇改善の助成をするなど、より積極的なとりくみを求めます。ご答弁下さい。

 次に、子育て世帯の負担軽減と学生・若者支援について伺います。

 物価高騰は現役世代も直撃し、義務教育でも、ランドセル、制服、体操服、上履き、教材費、給食費、修学旅行費などの「隠れ教育費」が大きな負担となっています。
 文部科学省の「子供の学習費調査」は、全国2~5万人の児童・生徒の保護者対象に鉛筆1本まで詳細に、2年おきに実施するものです。行事などが制約されたコロナ禍の2021年度調査では、公立小1の学校でかかる費用は平均16万7千円。中1では約24万円。義務教育9年間で部活を除いても約114万円にも上っています。修学旅行などは教育の一環です。憲法で「義務教育は無償とする」と定められているにもかかわらず、これだけの負担がかかることをどう受け止めますか。知事の認識をお聞かせください。
 全国では義務教育・子育てへの支援が広がっています。東京都の「018サポート」は、子どもたちの成長を切れ目なく支えるために、0~18歳に月5千円、年間6万円を所得制限なしで支給します。千葉県は今年度、小1から高1までの1万円1回きりです。子育て支援にかかる給付金の金額と対象を拡充し、継続すべきではないでしょうか。お答えください。
 義務教育での給食費負担は約35万円、学校でかかる費用の3割を占めます。昨年4月時点で給食費を無償化した県内市町村は、全小中学生実施の9を含め、何らかの無償化実施は19。今年4月は全小中学生12を含め、何らか実施は53へと、1年間で大きく広がりました。日本共産党は、長きにわたり給食費の無償化を主張してきたので、千葉県の第一歩は大歓迎です。今問われているのは次の2歩目。知事、決断はいつでしょうか。
 高等教育の学費は、学生だけでなく世代を超える負担になっています。大学4年生は「有利子も含めて奨学金を目一杯借りているから、返すのが大変」と語り、70代の方は「孫の大学進学にあたって子どもから、『奨学金を借りてもまだ足りない、学費の援助をしてほしい』と言われたが、助けたくてもこっちの老後の資金がなくなってしまう」と訴えられました。胸が痛みます。
 大学の初年度納入金は、国立約82万円、私立は平均136万円にも及びます。その一方で、奨学金は貸与制が中心のため、卒業生の3人に1人が平均300万円の借金を背負って社会に出る。その総額は約10兆円にもなります。学生や保護者の負担能力を超えた高学費とバイトに追われる学生生活の改善は、学生や大学、企業や社会にとっても待ったなしの課題ではないでしょうか。知事の受け止めを伺います。
 この間、学生を支える学費無償化が各地で進んでいます。東京都は来年度から都立大学の授業料を実質無償に。大阪府や兵庫県でも、大学の授業料を所得に関わらず無償化すると。ところが千葉県では、県立保健医療大学、県立の鶴舞と野田の看護専門学校、県立農業大学校の入学料、授業料の減額・免除しか行っていません。千葉県として、県立大学や専門学校の入学料・授業料を無償化すべきではありませんか。お答えください。
 都道府県独自の奨学金事業は20、奨学金返還支援事業は37自治体で実施されています。千葉県の児童養護施設等退所者に対する奨学金制度は年30万円・10名の限定的なものですが、他県では様々な事業が実施されています。例えば岐阜県は、移住促進・人材確保のため、将来Uターン希望の県外大学生に月額6万円、年最大36万円4年間の奨学金貸与、卒業後に県内居住・就業で返還を全額免除。実質、奨学金給付で今年度新規120名、予算は県単独2億6200万円です。東京都の中小企業人材確保のための奨学金返還支援事業は、上限150万円、企業と都が1/2ずつ3年間助成。岩手県は、Uターン・Iターンし県内企業に就業したら、上限250万円を企業と1/2ずつの返還を支援しています。伺います。千葉県でも、奨学金制度の給付額と対象を抜本的に拡大し、奨学金返済支援を行い、学生・若者の学びを支えるべきではありませんか。お答えください。

 最後に水害対策について伺います。

 今年6月3日の豪雨では、県管理河川の真間川と派川大柏川の合流部付近が増水し、「このまま降り続いたら怖い」と、近隣住民から不安の声が寄せられました。
 8月、周辺住民は、川の中の水面から2、3mにまで伸びたヨシやガマなどの植物の根元からの除草、堆積土砂の浚渫を要望しました。しかし、水面上で伐採されたために、すぐに植物が成長し、流れてきたごみが引っ掛かっている状態です。
 埼玉県は、堀込河川の場合「葦などの伐根の実施が効果的である場合は、浚渫による方法も検討する」としています。流下能力を確保するために、堀込河川である派川大柏川河道内は根から抜く伐根で植物の成長を抑制してこそ、豪雨時の水位上昇や氾濫防止につながるのではないでしょうか?国の緊急浚渫推進事業を活用した堆積土砂の掘削は、派川大柏川浄化施設付近だけでなく、派川大柏川の全体・河道内も対象に行うことを求めます。
 市川市内では、今後も局地的な豪雨による都市型水害などが懸念されます。北千葉道路などの、巨額をかけ見通しが立たない巨大道路建設よりも、地域住民の生活の安全、防災対策にこそ、知恵と予算をかけるべきではないでしょうか。

 以上、一回目の質問とします。