
【2023年9月県議会】日本共産党 みわ由美県議 代表質問
日本共産党のみわ由美です。党を代表して質問します。
冒頭、台風13号の大雨により被害にあわれた方々に心から御見舞い申し上げます。早期の復旧・復興により日常生活が戻るよう、充分な支援を強く求め、質問に入ります。
まず、知事の政治姿勢、初めにオスプレイについて伺います。また悲劇です。今年8月オーストラリアで米海兵隊オスプレイが訓練中に墜落し3人が死亡しました。昨年は、ノルウェーで4人、カリフォルニア州で5人が死亡。2017年も3人死亡、2016年は沖縄で墜落、米軍オスプレイ事故での死者は1992年以来57人と異常事態です。
米海兵隊は7月21日、昨年カリフォルニア州で5人が死亡した事故の調査報告書を公表しましたが、プロペラとエンジンを繋いでいるクラッチの不具合、ハードクラッチエンゲージメントと呼ばれるオスプレイ特有の現象が原因で、「操縦者や搭乗員等に過失はない」としています。米海兵隊報告書は、オスプレイの構造的欠陥を、事実上認めるものではありませんか。知事の見解を伺います。
同報告書を受け、防衛省は木更津に配備されている陸上自衛隊オスプレイの飛行を見合わせましたが、対策が適用されている等として8月14日に再開。しかし僅か2週間後の8月31日に静岡県静浜基地に「予防着陸」とよばれる緊急の着陸をしているではありませんか。ハードクラッチエンゲージメントが起こらなくとも安全とはいえません。知事、構造的欠陥があるオスプレイに自衛隊員の命を預けてよいのか。木更津への暫定配備や整備拠点化撤回を国と米軍に求めるべきです。其々お答え下さい。
次に、いわゆるマイナ保険証についてです。政府は、来年秋に健康保険証を廃止し、マイナンバーカードと一本化しようとしています。しかし、誤ったひも付けに関する政府の「総点検本部」が8月8日中間報告を公表、マイナ保険証に他人の情報が誤登録されていた事例が新たに1069件、既に判明していた事例と合わせ8441件もの誤登録が判明しました。他人の情報をもとに診察、処方が行われれば、命に関わる事故が起きかねないと、医療者は危機感を募らせています。まさに「命の問題」です。知事、この事態を、どう受け止めているのか。お答え下さい。
しかも、マイナ保険証の誤登録は、ひも付け誤りに起因するものだけではなく、資格確認の際に、負担割合が誤って表示される事例も千葉市で5件、確認されました。千葉県保険医協会が行った緊急調査でも、同様の報告があった医療機関の所在は、県内18自治体に及びます。重大なのはこの負担割合違いは、健康保険証を持っていたからこそ分かったものであり、厚生労働省自身も6月29日にマイナ保険証の不具合に備え、健康保険証を持参するように呼びかけているではありませんか。知事、健康保険証をなくす理由などありません。いよいよ明確になったのではないでしょうか。知事の見解を伺います。
この間、保険証廃止の撤回や延期を求める声が湧き上がっています。JNNが8月5・6両日に実施した世論調査では、一連の政府方針に対して「廃止期限を延期すべき」と「方針を撤回すべき」が合わせて69%となっています。前述の千葉県保険医協会の調査では保険証を残す必要あり、と答えた医療機関は9割。7月から8月にかけて共同通信が自治体に対して行った調査では、県内15もの自治体が保険証廃止の延期や撤回を望んでいます。一方で知事は、そのアンケートに対し「社会保障に係る経費の節減等に資するもので、推進すべき」などと回答しています。世論に背くものです。知事は、一連の世論調査、自治体への調査結果を、どう受け止めていますか。お答え頂きたい。
マイナンバー制度自体が、政官財の癒着にまみれています。マイナンバー事業を受注してきた企業が2014年から21年までの8年間、自民党の政治資金団体「国民政治協会」に計5億8000万円もの献金をしていたことが明らかになりました。個人情報をビジネスに利用するため、マイナンバー制度を強力に推進したのは財界です。その結果拙速な保険証廃止がトラブルや混乱を招いているのです。知事、保険証廃止を撤回するよう、国に求めるべきですが、どうか。答弁を求めます。
次に、福島第1原発事故の汚染水・アルプス処理水の海洋放出についてです。全国漁業組合連合会が、「漁業者・国民の理解を得られない海洋放出に反対」との会長声明を発表し
多くの国民が怒りの声をあげる中、8月24日に強行されました。政府が、「漁業者など関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」と、漁業者、国民と交わした約束を公然と投げ捨てたことは、民主主義の根幹を揺るがすもので断じて許せません。
2011年の原発事故以来、諸外国が千葉県産の農水産物などの輸入を規制し、県内経済に大きな影響がありました。先日、12年連続水揚げ量日本一を誇る銚子のある漁業関係者に直接伺いましたが、輸送、仲買、加工、販売と漁業だけでなく広く地域経済が影響を受けると危機感を募らせています。勝浦でも、輸入停止措置の影響で、これまでキロ当たり4万5千円で取引されていた黒アワビが2万7千円と6割まで既に値が下がったとのことです。知事、不安の声をどう受け止めていますか。お答え下さい。千葉県の漁業をはじめとする地域経済を守るためにも、汚染水・アルプス処理水の海洋放出をやめるよう、国に求めるべきです。知事の見解を伺います。
次に、新湾岸道路をはじめとした高速道路網の建設について伺います。千葉県では、高速道路の建設に力を入れ、新たに「新湾岸道路」の建設に踏み出そうとしています。しかし、周辺環境への影響も大きく、莫大な経費がかかる大規模道路建設を一気呵成にすすめていいものでしょうか。
新湾岸道路について基本方針では、「多車線の自動車専用道路」であり、「規格の高い道路として」「外環高谷ジャンクション周辺から蘇我インターチェンジ周辺ならびに市原インターチェンジ周辺まで」を結び、「湾岸部においてルートの検討を進める」としています。また、「既存の都市計画や県の確保済用地を有効に活用する」とも記されています。県は、ルート構造は決まっていないとしていますが、基本方針の記述を勘案すれば、構想されている第2湾岸道路の東側千葉より部分にぴったりと重なります。
実際に、県が作成した「千葉県広域道路交通ビジョン・千葉県広域道路交通計画」に掲載されている「広域道路ネットワーク図」では、新湾岸道路は「第2東京湾岸道路を軸とした新たな規格の高い道路ネットワーク」とされており、第2湾岸道路の西側市川寄り部分も「第2東京湾岸道路」の構想路線として位置づけられています。そもそも第2湾岸道路は、60年も前に国が策定した3環状9放射の道路網構想に位置づけられているものです。しかし経済も社会も大きく変わってきているのに、60年も前の構想にしがみついていていいんでしょうか。大規模公共事業で企業の利益を後押しすればうまくいくという、一世代前の古い考え方は転換すべきだと考えますが、どうでしょうか。
基本方針では、「ルートや構造の検討にあたっては、千葉県三番瀬再生計画との整合性を図るとともに、地域の生活環境に配慮した計画とすること」と明記しています。しかし、整合性を図ることは可能なのでしょうか。新湾岸道路は、高谷ジャンクションから千葉市蘇我方面に向かい、湾岸部を通るとされています。常識的に考えれば、現在の湾岸道路より海寄りのルートになり、三番瀬とラムサール条約登録湿地である谷津干潟との間につくることが想定されます。
三番瀬再生計画には、「ラムサール条約湿地である谷津干潟を三番瀬との関連の湿地と位置付け、都市と自然が共生したまちづくり等を促進」するとあります。これは、これまでの調査で、三番瀬と谷津干潟を鳥が行き来していることが明らかとなっているからです。しかし、新湾岸道路が三番瀬と谷津干潟との間に建設されることになれば、行き交う鳥たちにとって、巨大な壁として立ちはだかることになります。新湾岸道路の建設は、三番瀬と谷津干潟との関係を大きく損なうものとなると考えますが、どうでしょうか。
千葉市部分でも既存の都市計画や県の確保用地を活用しようとすれば、県道千葉船橋海浜線を活用したルートとなり、さらにその東側でも海沿いを走ることになります。この周辺には住宅が密集しており、拠点病院もあり、完成後の景観の問題や、工事中の影響も大きなものとなります。生活環境の悪化は避けられないと思いますが、いかがでしょうか。
新湾岸道路の具体化にあたっては、県内で初めて計画段階評価の手法を取り入れることとなっており、現在、開かれている検討会準備会のなかで議論が終結すれば、着手することになります。その最大の特徴は、複数のルート案を提示することと、住民の意見を集約することにあります。この仕組みを生かすためにも、ルート案が提示される前から、住民が参加できるタウンミーティングなどを繰り返し開催することや、インターネットなどを通じた意見募集を行うこと、どんな意見が寄せられたかを県民に広く公表すること、などを実施すべきだと考えますが、お答えください。
千葉県は新湾岸道路をはじめ、広域道路ネットワーク構想に執着し、県民からは「こんなに道路ばかりつくってどうするのか」という声も出るほどです。県は、産業の活性化と言いますが、道路を造ればうまくいくのでしょうか。ネットワーク構想では、「人口減少と少子高齢化に伴い、本県経済活動の停滞が懸念されることから、県内外及び県内各地を道路ネットワークで結び、人・モノの交流を活発化させる必要がある」と書かれていますが、高齢化で求められているのは生活圏内での日々の移動であり、公共交通の強化が求められています。広域な大規模道路網を張り巡らせるのではなく、地域密着型の交通施策に、重点を移すべきだと考えますが、どうでしょうか。
大規模道路への執着の一方で生活道路がまったく後回しになっていますが、高齢者にも子育てにも安心して歩ける地域の道路が必要です。ところが、例えば松戸市内を見ると、生活道路として使われている県道が、安心して歩けない事態となっています。昨年3月、松戸市高塚新田の県道市川柏線で、自転車に乗っていた21歳の女性が後方から来た軽乗用車にはねられて亡くなりました。この道路は、北から拡幅工事が進められてきましたが、高塚十字路より南側で用地買収が困難な場所があり、そこで止まっています。市議会では、「その部分は保留にして、先へ進めてほしい」との要望も出されていましたが、県は「ここが終わらなければ次にいけない」との態度をかたくなにとり続けており、これが死亡事故の遠因ともなっています。こうしたところにこそ、光を当てて一刻も早く、安全な道路にしていくべきだ、と考えますが、どうでしょうか。
次に、国民健康保険制度について伺います。「国保の都道府県化」・広域化がスタートしてから今年で6年目となり、先日、来年度から、6年間を対象期間とする、「第2期県国民健康保険運営方針(骨子案)」が示されました。第2期案には、一つに「所得と世帯構成が同じで県内どの市町村に住んでも同じ保険料になること」をめざす保険料水準の統一が掲げられ、二つには、これまで市町村が保険料の値上げを抑え、保険料負担軽減のために独自に行ってきた、一般会計からの、いわゆる法定外繰入を、2030年度までに解消することとの目標が示されています。
県内各地で高すぎる国民健康保険料(税)に住民が悲鳴を上げ、県内の保険料滞納世帯は11万4千、全加入世帯の13%にも及ぶ事態となっており、改めて国民健康保険制度がかかえる問題について質問いたします。
まず国民健康保険制度の構造的問題についてです。全国知事会などの地方団体は、加入者の所得が低い国保が、他の医療保険よりも保険料が高く、負担が限界になっていることを「国保の構造問題」と指摘し、国に対し抜本的な財政基盤の強化策を求めています。
県の第2期運営方針案では、今後「社会保険の適用拡大及び高齢世代の就労者増により、所得が低い被保険者が相対的に増加することが見込まれ」、同時に「被保険者の保険料負担が更に増加することが見込まれる」として、構造的問題がより深刻化していくことが示唆されています。そこで伺います。国保が抱える構造的な問題について、現時点での県の認識はどうか。お聞かせ下さい。
県の運営方針の冒頭には「社会保障制度の中核をなす国民皆保険の最後の砦である国民健康保険制度」との基本理念が掲げられています。
社会保障制度とは、言うまでもなく、憲法25条に基づく生存権を保障するものです。徴収した税や保険料、不足分は租税等を充当させることによって社会サービスを給付するものであり、国や自治体の責任において住民の命や健康を守り、財政的にも支える仕組みであるはずです。社会保障制度というなら、命と健康に直結する医療は、お金の心配なく誰もが受けられる、これがあるべき姿だと思うが知事の認識はどうか。国保制度を社会保障にふさわしく見直していくことこそ、今必要だと思うが、どうか。あわせて、お答えください。
その上で、国保が抱える現状の問題について伺います。まず保険料についてです。県が法に基づいて算定する「標準保険料率」によって示される県平均標準保険料は毎年引き上げられています。今年度の標準保険料は1人12万5182円と制度改正時の125%にも引き上げられています。
では、実際の保険料負担がどうなっているのか。私の住む松戸市では、例えば年間所得257万円の40歳代夫婦2人と小学生2人を抱え、軽減措置が適用されない4人家族の年間の保険料負担が実に39万7000円にもなっています。物価高騰などで、暮らしが追い詰められている中、知事、これが払える保険料といえるのですか。知事の認識をお聞かせ下さい。
次に、県が市町村に示す標準保険料率についてです。県の国保運営方針には「県は市町村が保険料率を決定する際の参考となる標準保険料率を示」し、「市町村は標準保険料率を参考に」、「地域の実情を考慮し、保険料率を決定する」と明記されています。
ということは、県が示す標準保険料率は、法令上も運営方針上も、あくまで「参考値」にすぎないということです。であるなら、標準保険料率は市町村の保険料算定を拘束するものではなく、当然、強要すべきものでもないと思うがどうか。お答え下さい。
市町村が独自の努力によって、高すぎる保険料を抑えるために行っている、一般会計から補填する、いわゆる法定外繰り入れについて伺います。
第2期県運営方針案では「被保険者以外の住民に負担を求めることになることから、解消・削減を図るべき」として、「2030年度までに解消する」としています。現に制度改正前、2015年度には26団体・152億円の法定外繰り入れが行われていましたが、2022年度には、9団体36億円にまで減少してきています。
しかし制度改正以前、2015年に国会で「一般会計からの繰り入れは、それぞれの自治体でご判断いただく」「これを制度によって禁止するというようなことは考えていない」と厚労省保険局長が答弁しています。そこで、まず市町村が行う法定外繰り入れを削減し、解消しなければならないとしている、その法的根拠をお示しいただきたい。地方自治の原則に基づいて自治体の判断で実施は可能ではありませんか。併せてお答え下さい。
県独自の支援策の拡充も急務となっています。子どもの均等割りは、2022年度から未就学児については5割軽減となりました。県内では、市川市、南房総市、富津市で、
18歳までの均等割減免に踏み出しています。国に求めることとあわせ、子育て世代の負担軽減という視点から、県独自の支援拡充策を検討すべきと思うがどうか。お答え下さい。
次に、加齢性難聴者に対する補聴器購入費の補助を求め、伺います。耳が遠くなり、外出がおっくうになった、そんな方が増えています。私は松戸駅で、ある高齢の女性から「自分は年金がなく、幾つになっても今の仕事で、働き続けるしかない。ローンで片耳34万円の補聴器を買ったけれど、聞こえが悪くなればまた買い替えです。東京のように補助して下さい」切々と、訴えられました。まさに、死活問題です。
日本老年学会によれば、一般に加齢性難聴は、高齢者の2人に1人と推計され、補聴器は必需品です。厚労省の認知症対策新オレンジプランでも、難聴は、「認知症の危険因子の一つ」とされ、人と話さなければ、うつ病や要介護に至るリスクも高まることから、もはや看過できません。そこで、伺います。補聴器の利用促進でこそ、高齢でも生活の質を落とさず心身とも健やかに過ごすことができる、認知症の予防、健康寿命の延伸、医療費抑制にも繋がると思いますが、県の認識はどうか。県内の加齢性難聴者の実態を具体的にどう把握していますか。お答え下さい。
最大の問題は、補聴器の購入費が、片耳数万円から5~60万円と色々あり、高額な補聴器を使わなければならない場合は、個人の負担が大変重くなることです。
今の身体障害者の制度では、両耳70デシベル以上、耳元で大声で話せば聞こえる重度・高度の難聴者には、補聴器購入費の1割負担で購入できる一部支給制度がありますが、両耳41デシベル以上、約3m以内で話さないと聞こえない中等度の難聴者、圧倒的多数の加齢性難聴者には、何の支援もありません。
しかし欧米では、中等度の難聴者から、補聴器購入の補助があるため、日本では難聴者全体のうち補聴器保有者は14%ですが、デンマークは55%イギリス52%と、格段の差で普及が進んでいます。国も、「孤独・孤立対策の重点計画」を、昨年12月に改定して、「補聴器等の利用による社会参加の促進」が明記されました。WHOも、早期からの補聴器の使用こそ、聞こえを改善するうえで重要、と推奨しています。
ところが日本では、とりわけ多くの低所得者が補聴器を入手できず、元気な高齢者が、認知うつになるリスクが、急速に広がっています。加齢性難聴の高齢者が、補聴器を購入する際の公的補助制度を創設するよう、県として国に求めるべきですが、どうか。お答え下さい。
同時に全国では、中等度・軽度難聴者の補聴器購入に、補助する自治体が123市区町村に急速に増えており、県内では船橋、浦安、印西、鎌ヶ谷市で実施しています。県として、加齢性難聴者への補聴器購入費の補助制度創設に踏み出すべきです。お答え下さい。
次に、「千葉県多様性が尊重され誰もが活躍できる社会の形成の推進に関する条例」について伺います。「多様性が尊重される社会」を望まない人は、誰もいません。ところが今、その多様性の前提となる、憲法で保障された個人の人権や、尊厳が、十分に守られていない、ここに最大の問題があるのではないでしょうか。
日本のジェンダーギャップ指数は世界125位と過去最低です。県内でも年齢、性別、障害、性的指向や性自認による差別や不平等が深刻です。多様性が尊重されず、差別や生きづらさを強いられ、県民が苦しんでいる、深刻な実態です。正面から直視し、原因を元から根絶し、人権と尊厳を守るため全力を挙げるのが県の責務ではありませんか。本条例はその重要な柱となるべきですがどうか、見解を伺います。
とりわけ千葉県は、全国で唯一男女共同参画条例がなかったことから、知事が条例制定の意向を表明した2月以降、県内外から注視されたのは当然です。ところが8月末に骨子案が公表されると、これで本当に人権が守れるのか、「多様性尊重」とは「似て非なるもの」にならないかなど、懸念の声が多く寄せられています。そこで幾つか指摘し、伺います。
第1は、進め方です。そもそも多様性が尊重される社会は、行政や県民がお互いに力を合わせてこそ、実現できます。そのためには骨子案の段階から、県民、関係団体、有識者などの意見を十分に聞き、練り上げていく、その観点が欠かせません。
ところが今回は、骨子案策定にあたり、2月以降、例えば、LGBTなどの団体や、女性団体等からの意見は聴取していません。2002年「男女共同参画の条例案」では、骨子案の起案段階から、「懇話会」に専門部会を設置し、県民との意見交換会も多数開催しました。進め方の違いは明瞭であり、今回は「多様性」と言いながら、起案段階から多様な民意を聞く姿勢が欠如しているのではないですか。お答え下さい。条例策定のための専門部会の設置や、市町村毎の意見交換会、タウンミーティング開催など、民意がきちんと反映できるようにすべきですがどうか。答弁を求めます。
第2は、「多様性尊重」と、いいながら、「人権」という文言が一切なく、一番重要な「人権」を守る視点が欠落しているということです。その一方で「活躍」が15回活力もいれると19回も、繰り返し出てきます。加えて成田空港機能強化、道路ネットワーク等、具体的な経済政策が列挙されています。「多様性尊重」は、活躍・活力のためですか、まるで経済振興条例のよう、と、期待されていた方からも、疑問の声が上がっています。これでは、人権を後景に追いやるのか、との誹りを免れないがどうか。お答え頂きたい。
そもそも人権は無条件で守られるべきです。差別は絶対にあってはなりません。骨子案に「人権」と「差別禁止」を明記するのは当然です。なぜ入れないのか。きちんと、お答え頂きたい。「多様性尊重」社会は、「活躍できる」かどうかではなく、年齢、性別、障害、性的指向や性自認など、の違いによって差別されない、誰もが「自分らしく生きられる」社会です。その事こそ、中心にきちんと据えるべきですが、どうか。答弁を、求めます。
第3に、県は、今回の条例制定により、男女共同参画条例が全国で唯一なかった千葉県も条例をもつ県になるなどと、説明していますが、到底、認められません。県民は、男女の性別、社会的文化的に意図的につくられた性差によって差別されることなく、誰もが自分らしく生きられる社会をと、願っていますが、本骨子案のどこを根拠に、男女共同参画条例ができた、参画や平等が促進できるなどとおっしゃるのか、ハッキリわかるようにお答え頂きたい。
例えば、埼玉県男女共同参画条例では、「個人の尊重と法の下の平等は日本国憲法にうたわれ」と、憲法にもとづく男女平等の実現や、国際婦人年以来の『平等・開発・平和』、「女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」など、国際的な人権の理念を明記しています。そのうえで、「真の男女平等の達成には多くの課題が残され」と現状を分析し、例えば暴力の根絶、性と生殖に関する健康と権利の尊重等も定め、独自に「事業者の責務」「基本計画の策定」「苦情の処理」も明記しています。少なくとも、埼玉県のように、憲法や国際的な人権の理念や、現状分析、是正や解決のために必要な具体的な内容や「事業者の責務」「計画の策定」等が明記されてこそ、実効性ある条例ができたと言えるのではないでしょうか。答弁を求めます。
また近年では、国連SDGsの17の目標の一つである「ジェンダー平等」を明記した条例が増えています。今日、大きな社会問題となっている働く場での男女賃金格差の是正およびハラスメント禁止、性的マイノリティの人権無条件保障、痴漢・DVなど女性に対するあらゆる暴力の根絶、被害者救済、意思決定の場へ女性をふやすことは急務であり、ジェンダー平等の課題は山積です。国際的な水準に立つジェンダー平等の理念を明記した、実効ある条例の制定こそ必要ですがどうか。お答え下さい。
以上、縷々指摘しましたが、公表された「骨子案」は、抜本的に見直しをして、再提案するよう強く求めます。見解を、お聞かせください。
次は、子どもと教育をめぐる問題です。まず教員の多忙化、長時間労働について伺います。新規採用の教員は、「素晴らしい先生に出会い、私も教員になったが、今は忙しすぎ。理想と現実のギャップが大きい」また、小学生2人の子を育てる40代女性のベテラン教員は、「1日6時間の授業のほか、行事のしおりや教育委員会への提出物の作成、会議など実務に追われて時間がない。休日の子連れ出勤もある」と、訴えています。
昨年、県教委が実施した「教員等の出退勤時刻実態調査」は、月当たりの時間外在校等時間45時間超えは、中学校69.5%、小学校57.2%に上り、最長は中学校教頭の116時間50分でした。昨年、千葉県高等学校教職員組合による「出退勤時刻実態調査」では、過労死ラインの月80時間超えの教員は534名(8.42%)、100時間200時間超え、夜中12時でのタイムカードの打刻もありました。教育長、教員の長時間勤務の深刻な実態について、認識をお聞かせ下さい。
中央教育審議会が提出した「学校における働き方改革に係る緊急提言」でも、現状は看過できない、「教員が授業や授業準備等に集中し」「健康でいきいきとやりがいをもって勤務でき、教育の質を高められる環境」が必要と述べています。最も多忙な学級担任や部活動の負担軽減を、中教審が言うように「教職員一人一人の問題」にすべきではありません。
2016年、中学3年の担任で部活顧問の40代の富山県滑川市の教員が過労死しました。富山地裁は7月、全教員が部活顧問を担当し自主的活動とは言えない、校長は過重業務の把握は可能だったが119時間の時間外勤務の是正措置を取らなかったのは安全配慮義務違反、と認定し、市と県に、賠償を命じました。
県内でも、先ほど紹介した子育て中の教員は、「算数の教具づくりとか、やりたいことがいっぱいある。欲しいのはいい授業をするための時間。先生増やして、持ちコマ数減らして」と言います。中教審は、教職員の業務が非常に多岐にわたり業務負担が増大している、本来業務に集中できるような体制を、担当授業時数の軽減を、と提言しています。千葉県独自に教員を増やし、1人1人の業務量の削減、担当授業時数の軽減に踏み出すべきではないでしょうか。お答え下さい。
長時間勤務の下、教員は、「子どもを、人間を育てているから、人間味が必要。疲れ切ってちゃだめ。私は辞める気ないけど、このままじゃ続けられない、という気持ちが分かる」と、早期退職の同僚に心を痛めています。長時間勤務の抜本的な解消を求めます。
おおもとにあるのは給特法です。基本給4%の調整額で常態化する時間外勤務を、「無制限無定量の勤務」と中教審は言っています。先の6月文教常任委員会で県は、時間外勤務の不支給額は1人当たり年間約120万円との試算を明らかにしました。単純計算で10年で1200万円、大卒で60歳まで38年間勤務すると4560万円にもなります。これだけの時間外手当が、事実上不支給、ただ働きとの認識はありますか。お答え下さい。
文科省も、給特法の調整額の若干の増額や、担任手当の創設などの導入を検討していますが、長時間勤務の根本的な解決にはならず、不払い残業の根絶、時間外手当の支給は急務と、強調しておきます。
次に、エアコン設置についてです。県立高校では、特別教室や校長室・職員室など管理諸室への設置を進めていますが、教員が授業の準備を行う教科準備室は、対象外です。
今年7月上旬、県立高校の50代の教諭が亡くなりました。死亡報告には「勤務状況・健康状態ともに良好で、亡くなる前日まで勤務しており、突然のことであった」と校長の意見があります。この教員はエアコンのない準備室で業務し、体調不良を訴え、普段より早めに、定時に帰宅した翌朝、亡くなっていました。エアコンのない環境で業務していた現職教員の突然の死亡、この事実をどう受け止めているか。認識をお聞かせください。
死亡した教員の県立高校で、別の教員に直接伺いました。「危険な暑さで、毎年数回熱中症になる。頭痛や呼吸困難、激しい動悸。PTAがエアコンを設置した教室から、扇風機4台で準備室に冷風を送ってしのぐが、普段は午前7時で35℃になる」と言います。他の準備室でも扇風機を何台も使ったり、個人で卓上冷風機等を購入・設置していました。
当該校は、7月中旬「以前から要望があったから」と4つの教科準備室に家庭用のウインドエアコンを学校予算のやり繰りで設置しましたが、フルパワー運転でもなかなか冷えず苦労していました。教科準備室は教育上必要な施設ではありませんか。お答え下さい。
教育機関では、熱中症の注意喚起が行われています。「学校における熱中症対策ガイドライン」は31℃以上で運動は原則中止、外出はなるべく避け涼しい室内に移動すること、としています。熱中症事故は体育・スポーツ活動だけでなく、運動部以外の部活動、屋内の授業中、登下校中も発生していることから、適切な防止措置が求められています。繰り返し熱中症対策が求められているのに、なぜ教科準備室はエアコン設置の対象外なのか。お答え下さい。
教科準備室は、高等学校設置基準第15条の、校舎に備えるべき施設であり、第12条で、指導上、保健衛生上、安全上及び管理上、適切なものでなければならない、とあります。高等学校施設整備指針は、生徒等の学習及び生活の場として、また、教職員の働く場として、通風、換気、室温などの影響等に配慮した良好な環境状況を確保することが重要としています。高温を避けるためにパソコン室にはいち早くエアコンが設置されたものの、今なお準備室は対象外で、教員は「私たちはパソコン以下」と嘆いています。教科準備室に急いでエアコンを設置すべきではありませんか。答弁を求めます。
最後に、私が住んでいる松戸市の街づくりについて、伺います。はじめに、流鉄・流山線小金城趾駅のバリアフリー化について、です。1日の乗降客約1500人の小金城趾駅は、エレベーターもトイレもなく、登りの階段を42段のぼって改札口へ、次に、下りの階段を32段降りてホームへ、合計74段も上り下りしなければ、電車に乗れません。「車椅子もベビーカーも無理」「雨の日は、傘と荷物を持つと、手すりも使えない」など切実です。駅周辺には、介護・医療施設が20カ所以上もあり、改善は待ったなしです。小金城址駅の現状について県の認識は、どうか。松戸市や流鉄と協力して、小金城趾駅のバリアフリー化やトイレ設置の早期実現を図るべきです。其々、お答え下さい。
次に、1日の乗降客約2万2千人のJR馬橋駅東口ロータリーに通じる一般県道馬橋停車場線の拡幅についてです。歩道がなく狭くて危険なため、過去にも本会議で取り上げましたが改善されていません。その結果、県警によればこの2年半だけでも7件も人身事故が発生し、うち6人が歩行者で負傷している事実が判明しました。朝夕は通学路にもなる狭い県道と駅ロータリーに人と車が集中していますが、他の駅ではあたりまえのバス乗り入れも出来ません。改善は急務です。
そもそもここは30数年前に県が決定した都市計画道路ですが、松戸市は、駅前の高層ビルと一体の道路拡幅などの再開発はとっくに断念しており、県街路事業でと市の意向を伝えています。県が、いつまでも採算に合わない計画を市に強いるのは止めるべきです。放置すればケガ人が増えるだけです。県として、松戸市と必要な協議手続きを進め、県道馬橋停車場線拡幅の早期実現をはかるべきです。ご答弁下さい。
以上、一回目の質問とします。
