【2023年2月県議会】日本共産党 加藤英雄県議 一般質問

政策

【2023年2月県議会】日本共産党 加藤英雄県議 一般質問

 日本共産党を代表し質問します。

 まず、知事の政治姿勢についてです。
 依然として続く物価高騰が県民の暮らしと生業を直撃し、その影響は深刻なものとなっています。昨年12月の消費者物価指数は41年ぶりの高い伸びとなり、前年同月比で都市ガス33.3%、電気21.3%、食用油33.6%など、生活に欠かせないものの値上げが際立っています。2人世帯の家計負担増は年間14万3千円にものぼるとの試算もあります。とくに食品の値上げは止まらず、2月の値上げは5463品目にも及び、4月までに1万品目を突破すると言われています。
 一方、実質賃金はどうか。2012年の年収404万円から21年には384万円と、年間20万円も減少し、厚労省の統計では、昨年は前年比で0.9%の減少。年金も「マクロ経済スライド」によって、実質的にはマイナスとなっています。賃金も年金もマイナス、そこへ物価高騰が襲いかかり、県民の暮らしは困窮しています。知事は、今の県民のくらしの現実をどう受けとめているのか。こうした事態を打開するのが政治の責任であり、そこに支援の手を差し伸べるのが県行政の役割だと思うがどうか、それぞれお答えいただきたい。
 しかし、いま岸田政権は、国民生活など後まわしで、大軍拡、敵基地攻撃能力保有に突き進もうとしています。長距離ミサイルの開発・量産・取得など、軍事費は5年間で43兆円にも膨れ上がり、来年度は「防衛力強化資金」を含めれば総額10兆円を超える桁外れの軍拡となります。GDP比2%以上の軍事費となれば、世界第3位の軍事大国になります。そこで伺います。知事は、岸田政権が打ち出した大軍拡路線にどのような認識をおもちか、見解をお聞かせ下さい。
 問題はこの大軍拡の財源をどうするのかということです。来年度予算ではすでに社会保障費の自然増が、1500億円も圧縮されており、結局、大軍拡の財源を確保しようとすれば、さらなる社会保障の大削減や大増税を強いることになるのではありませんか。まさに「軍事栄えて民滅ぶ」、庶民の苦しい生活への追い打ちなど、断じて許されないと私は思いますが、知事はどうお考えか、答弁を求めます。
 閣議決定した安保3文書に明記されている敵基地攻撃能力の保有は、日本が直接攻撃されていないのに、米国が始めた戦争を「存立危機事態」と認定し、集団的自衛権の行使として敵基地攻撃を行おうとするものです。国会で防衛大臣は「集団的自衛権を行使した後、事態の推移によっては他国からの武力攻撃が発生し、被害を及ぼす可能性がある」と認め、さらに相手国の報復に対し、さらなる攻撃を行うことまで言及しています。結局、日本を守るどころか米国の戦争に日本を巻き込み、日本に戦火を呼び込むことになるのです。年末にタレントのタモリさんが「新しい戦前なる」という警告を発し、年始めには吉永小百合さんが、議論もなしに大軍拡を進めることは「怖い」と強い危惧の念を露にしました。
 そこで伺います。「専守防衛は変わらない」「自分の国は自分で守る」と、首相は言っていますが、明らかに「専守防衛」を投げ捨て、憲法9条とは相容れないと思うが、知事の認識はいかがか。
 重大なのは、千葉県が「戦争する国づくり」の足場となっていることです。木更津基地には陸自オスプレイの配備がすすみ、1月8日の陸自第一空てい団降下訓練では、初めて日米英豪の4軍合同演習が行われました。3月には、またもや幕張メッセでの武器見本市が計画されています。こうした事態は、戦争という手段によらず紛争の解決を追求する非核平和千葉県宣言とは決して両立するものではないと思うが、知事の認識を伺います。

次に新年度予算(案)について質問します。

 コロナ禍と、41年ぶりの物価高騰が連続して県民生活に襲い掛かっています。県民の命とくらしを守り抜く予算になっているか、その立場から組替えを提案します。お配りした表の通り、組替え総額は約176億円、当初予算の0.8%ほどの規模です。
 まず増額する予算についてです。我が党は繰り返し新型コロナの戦略的検査拡大と、公衆衛生の要である保健所体制の強化を求めてきました。無症状者への一般検査事業が予算化されない中、せめて検査機器の購入費を助成すべきです。3億円で、抗原定性検査に1000円、PCR検査に5000円、合計10万回分の助成を求めます。保健師数を全国平均まで増やすため、15億7千万円で289人の増員を提案します、あわせてお答えください。
 県の医療機関向け物価高騰対策は、入院ベッドがない施設が対象外です。5億1千万円で、無床診療所、歯科診療所、訪問看護ステーション、調剤薬局へ5万円の支援に踏み出すべきです。日々感染リスクの中で生活を支えるケアワーカーの処遇改善も急務です。千葉県保育士処遇改善事業を11億6千万円増額し県負担を1万5千円に引き上げる、介護3施設への職員待遇改善のための、100万円の支援は6億2千万円で可能です、お答えください。
 災害発生時に第一線に立つ土木事務所や、家畜伝染病に立ち向かう家畜保健衛生所の職員も定員適正化計画によって大幅に削減されてきました。6億4千万円で土木事務所の職員を136人増員し、8千万円で家畜保健衛生所の職員数を14人増員すべきです。お答えください。
 政府の掲げる「異次元の少子化対策」には教育費負担軽減策がありません。県独自の支援が必要です。学校給食費完全無償化にむけ、48億3千万円の予算増で公立の第2子まで無償化を拡大し、32億4千万円で、私学における年収590万円未満の世帯の施設整備費の減免が可能です。お答えいただきたい。
 教員の未配置が過去最多を更新し続ける異常な事態となっています。未配置解消のために、10億8千万円で新たに200人の正規教員を採用する。県立学校での生理用品の無償提供継続のために1校年2万円、400万円を予算化すべきです。お答え下さい。
 子育て世代の負担軽減策として、国の未就学児童の国保均等割りは、県が4億7千万円を追加すれば、県独自の10割減免が実現します。また、子ども医療費助成も31億円増額すれば、県として中学3年生まで無料化拡大が可能です。それぞれ答弁を求めます。

 次に財源をどう捻出するのか。これらの予算を確保するために、不要不急の事業の先送り・凍結・圧縮を行います。予算計上された事業は、いま本当に必要なものなのか、先送りは出来ないのか、凍結・圧縮は可能かを精査して、その財源を県民の暮らしや福祉、医療に振り向ける、予算執行の優先順位を県民生活第一に切り替えようとするものです。
 具体的には。直轄事業負担金を含む、圏央道、北千葉道路に関わる54億2千万円、港湾事業の7億7千万円、河川事業の25億円、土地改良事業の34億3千万円を圧縮・凍結する。一般会計から持ち出す道路ネットワーク事業のうち4億3千万円を圧縮し、同様に港湾整備事業のうち、千葉港中央地区の埠頭埋立て事業と館山港の桟橋整備の2千万円は先送りすべきです。土地区画整理事業の一般会計からの繰り出し15億1千万円は凍結、広域農道整備事業2千万円を圧縮し、土地改良基礎調査の1億円の凍結を求めるものですが、それぞれお答えいただきたい。
 大企業呼び込み型の政策は、地元にとって、雇用も経済への効果も極めて限定的です。立地企業補助金10億8千万円を凍結し、同じく、企業誘致を推進するための事業3千万円も凍結。また、5千万円の産業誘致調査の先送りを求めます。お答えください。
 新型コロナの収束が見通せない中、企業の海外展開支援6千万円、農林水産物の海外プロモーション3千万円、国内外の観光プロモーションなど5億円の先送りを提案し、千葉県誕生150周年記念事業の4億7千万円を凍結し、株式会社オリエンタルランドとの連携事業など、関連事業4億5千万円の圧縮を求めるものですが、お答えください。
 その他、我が党がかねてより指摘してきた議員の海外視察3千万円は全額削除すべきです。家畜保健衛生所と支所など、3か所を統合する事業4億7千万円は見直しを求めます。千葉県総合救急災害医療センター建設は、建設用地が超軟弱地盤のため、災害時の対応などに不安があることをこれまでも指摘してきました。一般会計負担金2億6千万円は凍結し、計画の見直しを求めます。市町村デジタル推進支援事業については、膨大な個人情報のデータを企業が利活用しやすくすることがねらいであり、同事業3千万円の凍結を求めます。それぞれ、答弁をいただきたい。
 また、大企業への法人事業税の超過課税を上限まで行えば252億円の新たな財源がうまれます。これを活用すれば、暮らしや生業へのさらなる支援が可能となることを申し添えておきます。

次に、新型コロナの「第5類」への引き下げと地域医療構想について伺います。
 政府は、新型コロナの感染症法上の位置づけを、5月8日に季節性インフルエンザと同じ「第5類」に引き下げるとしました。しかし、今年の「第8波」でも「発熱外来にかかれない」「入院できない」などの声が多く聞かれるなど、依然として「医療ひっ迫」は深刻な事態となっています。昨年10月から12月までの県内死者数は425人ですが、今年は1月だけで、なんと557人に急増しています。高齢者施設でのクラスターも多発しています。谷口敏文千葉大准教授による、高齢者施設クラスターの続出と死者の増加は「間違いなくリンクしている」との分析が報じられています。そこで伺います。救える命を救うことができなかった、多くの命が失われている深刻な事態を、知事はどう受け止めているのか。高齢者施設などでのクラスターの急増を、どうやって抑制しようとしているのか、あわせてお答え下さい。
 「5類」に引き下げられれば、入院勧告や人流抑制など幅広い対応ができる法的根拠がなくなります。予算措置としてきた対策は大幅に縮小し、ワクチンや検査、コロナ医療費に関する公費負担が引き下げられ、感染患者の負担増となります。そうなれば検査や受診の抑制を招く危険があり、県民の命や健康が脅かされるだけではなく、感染拡大防止にも逆行する事態となります。
 そこで伺います。検査や入院・治療などの医療費、医療機関への十分な財政的支援を国の強く求めるとともに、県独自に対策を講じる必要があると思うがどうか。
 厚労省審議会でも「1年に3回も流行を起こし、そのたびに医療体制がひっ迫する疾患を5類に当てはめていいのか」など、複数の委員から懸念の声が上がったとのことです。この間、感染の波が繰り返されるたびに「医療のひっ迫」という事態に陥ったのはなぜなのか。それは政府による長年の医療費抑制政策によって、平時の時でも医療現場は常にギリギリの体制を強いられてきたことによるものです。そうした余裕のない医療体制の脆弱さが明らかになったもとでも、医療機関はコロナ最前線で必死に踏ん張ってきました。命を守る最後の砦として、医療機関が果たしている役割を、県はどう認識されているのか。この間の「医療ひっ迫」という事態となった要因をどう分析し、教訓化しているのか、あわせてお答えください。
 それなのに県は、2025年までに高度急性期、急性期病床を大幅に削減する計画、「地域医療構想」に、いまだに固執しています。昨年度、県内医療機関の報告によれば、その数、あわせて6891床にもなります。いうまでもなく、これらの病床は、コロナ禍の中、感染者の命を守る中心的役割を果たしてきたものです。病床削減は、医療への公的責任を投げ捨てるに等しいものと言わざるをえません。いま県がやるべきは病床の削減などではありません。医療体制を切り縮める国の政策を中止させ、地域医療を支える医療機関への公的支援を拡充し、県民の命を守る自治体の役割を発揮することです。そこで伺います。1点目、県が地域医療構想を進める目的は何なのか。2点目、コロナ禍の3年間の教訓からも、地域医療構想による病床削減計画はキッパリと断念すべきです。

 最後に教育問題について、まず教員未配置について伺います。
 昨年8月、わが党は、教員採用試験の募集人員を大幅に増やし、定数上の欠員をなくすことや、休暇・休職の代替は県教委の責任で「県単定数」分を年度当初から採用し配置するなどの「教員不足の解決をめざす提言」を公表しました。
 県教委が今年度の教員採用試験の小学校の2次合格者を大幅に増やしたことは一歩前進であり、年度初めの未配置解消のためにさらなる対策を求めるものであります。文科省も産休・育休の代替教員については、年度当初から配置できる通知を発出し、産休・育休の代替配置も動き出してきています。
 そこで問題になるのは、療養休暇に入った教員の代替対策です。月を追うごとに事態は深刻になっています。今年度は12月までに療養休暇を取得した教員は、小中学校で389人にのぼり、12月1日時点の未配置が105人と始業式時点の4.4倍にもなっています。療養休暇取得者の増加について、その要因をどう考えているのか、お答え下さい。
 療養休暇代替は法的措置がなく、県の責任で配置しなければならない分野となっています。年度当初から県教委の責任で代替教員を確保し、休暇に入ったらただちに配置できる体制が必要だと思うがどうか、またそれは可能か、それぞれお答えいただきたい。
 教育問題の二つ目は県立高校の校則の見直しについてです。県教委は教育課程や手続きなどを定めたものを「校則」とし、生徒心得などの規則を定めたものを「生徒指導規程」と称していますが、ここでは総称して「校則」として伺います。
 校則に基づく生徒指導をめぐる環境の変化もあり、文科省は生徒指導の基本書である「生徒指導提要」を、12年ぶりに改訂し、生徒指導の基礎として「児童の権利に関する条約」などを盛り込みました。そこで伺います、「生徒指導提要」の改訂について、その背景など県教委の受け止めはどうか。
 県教委は昨年12月、「生徒指導提要」の改訂に関する通知を出し、今年度中の対応として、校則の学校ホームページ上の公開や、校則を制定した背景も示しておくなど、4点の見直しを求めています。通知に基づく校則の見直しの進捗状況はどうか、お答え下さい。
 東京都教育委員会は一昨年、校則等の自己点検と見直しの実施についての通知を出し、頭髪の黑染め指導や、下着の色指定など、いまの校則に表記されている内容を例示し、人権を保障したものであるか、合理的と認められるかなどの点検の視点を示し、見直しの実施を求めています。
 県教委も2020年12月の通知で、校則等の点検見直しを求めていますが、そこでは、「地域の状況や社会の常識、時代の進展などを踏まえたものになっているか、定期的に点検し、必要に応じて見直すこと」などと極めて抽象的な表現、指摘にとどまっています。
 そこで2点伺います。1点目、県教委の通知に示された「社会の常識、時代の進展などを踏まえたものになっているか」との視点で見たときに、現在の校則の何が問題で、どこが合理的でないと考えているのか。
 2点目、県教委も現在の校則を精査し、改訂「生徒指導提要」に沿った見直しの視点や、生徒の人権を尊重する観点等を示し、校則の見直しを具体的に進めるべきではないか。
 現在、校則は、学校の教育目標や生徒の実態などに応じて、校長の権限と責任において定められています。制定や見直し、改正等は校長の権限に委ねられ、具体的な手法などを規定したものはありません。そこで、生徒たちの意見表明権を尊重し、教職員や保護者、地域の人たちの関与も含め、校則の制定・改正の手法、校長の責任等を県立高校管理規則に規定すべきではありませんか、答弁を求めます。