お知らせ
【2025年12月県議会】日本共産党 丸山慎一県議 議案・請願への討論
日本共産党を代表して議案と請願に対する討論を行います。
初めに議案第1号一般会計補正予算ですが、リハビリテーションセンター再整備のための継続費の設定や舗装道路修繕に関する債務負担行為などは、まったく異論ありません。ただ、補正予算案に計上されている千葉県忠霊塔再整備事業については、同意できません。千葉県忠霊塔は、日清戦争以降の戦没者を追悼するとともに、恒久平和を祈念するとして、県が管理しています。しかし、過去の履歴を調べると、この忠霊塔の建設は戦前であり、終戦時に未完成だったものを県が修復したとされています。しかも「忠霊塔」という名称は、一般的には、国のために戦死した兵士の魂を慰め顕彰するためのものとされており、戦後は「慰霊」という言葉が多く使われています。しかも、現在、都道府県が管理している忠霊塔は千葉県を含めて4県しかありません。こうした状況を見れば、千葉県忠霊塔は「国のために命をささげる」ことが美徳とされた戦前を引きずっていると言わざるをえません。戦争で犠牲になった方々を慰霊する思いはいろいろあると思いますが、必要なのは2度と過ちは繰り返さないという誓いです。それは80年前の戦争への反省が出発点になるべきであり、それが欠落しているこうした予算に賛成するわけにはいきません。
議案第14号は、使用料手数料条例の一部を改訂しようとするものです。問題は、そのなかに政党助成法の一部改訂を受けたものが入っていることです。政党交付金は、国民一人当たり250円を、毎年、政党に交付するもので、年間総額は315億円に上ります。これは、憲法で保障された思想信条の自由をないがしろにして、支持していない政党にまで税金を通じて強制的に募金させられるのと同じことです。制度そのものが憲法に反するものである限り、どんなに改善しても憲法違反の性格は変わるものではなく、本議案には反対いたします。
議案第19号は国の法改定を受けて、教職調整額の支給率をいまの4%から段階的に10%に引き上げようとするものです。法改定の出発点になったのは、公立学校の教員が苛酷な労働を強いられているという告発でした。その最大の要因は、教員には労働基準法にもとづく時間外労働が適用されず、4%の教職調整額を支払えば、いくらでも残業をさせられる、いわゆる「定額働かせ放題」の制度になっていることにあります。これについて教職員や保護者、教育関係者はもとより、多くの人たちが声を上げ抜本的な改善を迫りました。ところが政府は、調整額を10%に引き上げただけで、「定額働かせ放題」の仕組みそのものは維持しました。これでは、現場での過酷な労働を解消することはできません。しかも、県教育委員会の試算では、仮に時間外勤務手当を適用した場合の支給総額は390億円なのに、調整額では10%になったとしても173億円にしかならず、本来支給すべき残業代の4割程度にすぎません。
こうした議案には賛成できません。
議案第21号は来年4月から水道料金を18・6%引き上げようとするものです。昨年9月県議会で知事が値上げを表明して以降、多くの県民から批判の声が上がりました。県議会でも毎議会、質疑が行われてきました。しかし、なぜ、かつてない物価高が迫っているときに値上げしなければならないのか、なぜ企業利益のための水よりも生活に必要な水の方が値上げ幅が大きいのか、他県では値上げを延期しているところもあるのになぜ千葉県ではやろうとしないのか、こうした疑問にたいして、納得できる説明はされていません。県民の苦しい生活を考えれば、生活に欠かせない水道の値上げは、絶対に許されるものではありません。声を大にして、本議案への反対を表明するものです。
次に、請願第58号「診療報酬の十分な引き上げを求める請願」についてです。昨年6月の診療報酬改定が0・88%にとどまり、物価や人件費の上昇にまったくおいついていません。国立も公立も民間も医療機関の経営が深刻化しています。日本病院会など病院関係6団体は今年3月、「このままでは、ある日突然、病院がなくなります」という衝撃的な声明を発表し、9月にも厚生労働大臣宛に緊急要望を提出しています。かつてない深刻な事態に陥っている現場の状況を正面から受け止め、本請願を採択すべきです。
請願第62号「行き届いた教育を求める請願」は、4万1442人という多くの県民が請願者として名を連ねています。請願項目は、教育予算の増額や少人数学級の推進、教職員の増員、未配置の解消、学校給食の無料化、私学への経常費助成の大幅増額など、どれも当たり前の内容となっており、議場のみなさまの賛同を求めるものです。
次に請願第63号「障害者総合支援法7条の適切な運用を求める請願」についてです。総合支援法にもとづいて無料で障害福祉サービスを受けていた重度障害者が、65歳になったことを理由に、介護保険サービスに切り替えることを強要され、それを拒否したところ10割負担を強いられるという出来事がありました。その根拠とされたのが障害者総合支援法第7条です。この条文は介護保険で自立支援給付に相当するサービスを受ける場合は、総合支援法にもとづく給付は行わないことを定めたものであり、あくまでも二重に給付されないためのものです。障害者施策の打ち切りが認められていないのは当然のことで、それを認めてしまったら、障害者の暮らしや命の保障にかかる行政責任の放棄と同じです。よって本請願の採択を求めます。
請願第64号「所得補償制度の実現を国に求める請願」は、急激な物価高が、資材価格の高騰など農業生産の現場にも襲い掛かってきているなか、生産コストの上昇を販売価格に転嫁できないで苦しんでいる農家を支えるために、所得補償制度の確立を求めるものです。県が公表した農林業センサスの結果を見ても、千葉県内の農業経営体の数は10年前と比べて4割以上減っており、極めて危機的な事態となっています。私たちは、農業が無くなったら生きていくことができません。国に決断を求めるためにも請願を採択し、千葉県議会として意見書を提出すべきです。
最後に請願第65号「日本政府に核兵器禁止条約への署名・批准を求める意見書の提出」についてです。核兵器禁止条約は、今年9月で批准の意思を示す署名国が95カ国、批准は74カ国となり世界の大きな流れとなっています。しかし、日本政府は唯一の戦争被爆国であるにもかかわらず、いまだに署名も批准もしていません。それどころか高市首相は、非核3原則を見直して、核兵器の日本への配備に道を開こうとしています。これほど被爆者と平和を願う国民を裏切るものはありません。日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞したのを見ても、世界の流れは核兵器の禁止を求めています。核抑止力論のくびきから抜け出して、日本が核兵器廃絶の先頭に立つためにも、本請願の採択を心より求め、討論を終わります。



