【2025年12月県議会】日本共産党 浅野ふみ子県議 一般質問

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【2025年12月県議会】日本共産党 浅野ふみ子県議 一般質問

 市川市選出、日本共産党の浅野ふみ子です。
 はじめに、知事の政治姿勢について質問します。
 自民・維新の高市政権は、軍事費の国内総生産(GDP)比2%への引き上げとともに、安保3文書改定を前倒しで2026年中に行うと表明しました。「台湾有事」は「存立危機事態」に該当すると主張し、「防衛装備移転三原則」の改定で本格的な武器輸出拡大を狙い、「非核三原則」の見直しを検討する動きも重大です。さらに、国民的な議論もなく民意を削る衆議院の定数削減、命を削るOTC類似薬の保険外しや負担増、地域医療を壊す病床削減、介護保険制度の大改悪、労働時間の規制緩和など、平和を壊し、命と暮らしを脅かす、戦後最悪の政権だと言わざるを得ません。このもとで、県民の暮らしへの影響は大きいと思うがどうか。知事の認識を伺います。

 次は、県営水道料金の値上げ問題についてです。
 知事が議会で県営水道の値上げを表明して以降、県は「県水だより」で今年度2回の「料金改定特集」を組むなど「水道料金値上げが前提」と言わんばかりの広報を行ってきました。
 この間、県民の反応は怒りに満ちたものでした。「水道料金値上げ中止を求める千葉県民の会」が取り組む値上げ中止を求める署名運動では、「十数%も値上げなんてありえない」との声に溢れ、オンラインを含めて2万5千を超える方々が値上げ反対の意思を明確にしています。中小業者からも悲鳴が上がっています。千葉県商工団体連合会が行ったアンケートで、ある製造業者は「材料等値上げばかりで、『水よ!!お前もか!!』の思い」だと吐露しています。連続する物価高騰のなか、生活や生業を壊しかねない県営水道値上げに、県民の納得は得られていないのではないか。まず、知事の認識を伺います。
 知事が県水道事業運営審議会に諮問した内容を振り返ると「利用者間で改定率に大きな差が生じることのない」料金引き上げを、としています。一方で、9月議会の代表質問で我が党が質問し、その後「提言」発表したように、少なくとも家庭が使用する小口径の値上げは回避できるという試算は成り立ちます。知事に伺います。はじめから「県民への値上げありき」だったのではありませんか。
 今議会にかけられている料金引き上げ案を2024年度決算見込みの件数・水量で試算し、現行料金の試算との影響額を口径別で比較しました。(議場配付資料をご覧ください)

 主に大きな企業が使用しているであろう口径150mm以上の影響額は合計月額6,960万円であるのに対し、主に家庭で使う口径13mmと20mmの小口径の影響額合計は、実にその8倍以上の5億7,040万円。全体の値上げ額の約7割が、家庭への負担です。
 水道水は、水道法で「公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与する」ものと定義づけられています。いうまでもなく、公衆衛生の向上は憲法第25条において公的責任が定められており、水道法や憲法の立場から、県民に対しきれいで豊富な水を安価に提供するのは県の責務であることは当然のことです。値上げ額全体の約7割を家庭に押し付ける今回の引き上げは、この水道法・日本国憲法第25条の精神から乖離していると考えるがどうか。お答えください。
 県民のいのちと生活を維持するために必要な水は、値上げなどすべきではありません。今回の県営水道の値上げはいったん白紙に戻し、県営水道はどうあるべきか、どうすれば生活のための水の値上げを回避できるのか。今一度真剣な検討を行うべきだと考えますが、知事の見解をお答えください。
 審議会の答申書を見ると、水道民営化のひとつである「ウォーターPPP」などを「研究」することが意見として述べられていることも非常に重大です。PPPの大きな問題のひとつは、財政の民主主義的統制と責任の明確化を目的に「会計年度独立の原則」に基づき運営されるべき県の事業を、民間の企業に長期の契約で委託することにあります。予算・決算をまともに議会で検証しないまま、利益獲得が目的である民間企業に、県民の命を支える水を渡すわけにはいきません。「ウォーターPPP」により水道事業を民間企業の手に渡すなどは論外であると考えるが、知事の認識をお聞かせください。

 次に、シングル単身女性への支援について伺います。
 一人暮らしの若い女性や高齢女性の生活苦は深刻です。私はこの間、ハラスメントを受け働けなくなった20代や、低賃金で働いても働いても貧困から抜け出せない非正規の40代~60代、低年金で生活ができず80歳を超えても働き続ける高齢者など、多くの単身女性の訴えをお聞きしました。市川市に住む60代Tさんは、「非正規ダブルワークでずっと頑張ってきたけれど、月収は10万円余。貯金もなく、将来の年金はいま介護している親の半分ほど。この先不安しかない」と苦しんでいます。胸が痛みます。知事、単身女性のこうした暮らしの実態をどう受けとめていますか。生活苦や生きづらさを取り除くのは政治の責任、そう思いませんか。見解を伺います。
 ところが県は、こうした実態について調査は一度も行っていません。今年度も県が予定しているのは大学生対象のデートDVなどに関する意識調査。これを否定するものではありませんが、併せて増え続けるハラスメント被害、不安定雇用や低賃金、健康や親の介護、低年金や住まいなどに不安をもつ単身女性に寄り添う、暮らしと人権に関わる実態調査を今こそ実施すべきだがどうか。お答え下さい。
 そのうえで、単身女性の権利保障とさらなる支援を目指し、いくつか伺います。
 第1は、雇用の安定と賃上げです。国の就業構造基本調査によれば、県内の非正規雇用者109万400人のうち女性は73万3400人で67%。国の賃金構造基本統計によれば県内の女性の賃金は男性の76.2%と、3年前と比べ男女の賃金格差は広がっています。こうした実態をどう認識していますか。
 県は、非正規を正社員化した事業主に対して助成するキャリアアップ助成金、国の制度の周知啓発をしていると言うがそれだけでは不十分です。他県で始まった中小企業への県独自の賃上げ支援も拒否し続けています。本気度が問われます。非正規は女性が圧倒的に多い、この現状を変えるため、県も、非正規から正規雇用へ転換した中小企業に対し支援すべきですがどうか。また、中小企業に対する県独自の賃上げ支援にいよいよ踏み出すべきです。それぞれお答え下さい。
 第2は、単身女性も含めた女性の健康支援や社会保障制度の確立です。重い生理痛や更年期障害等で多くの女性が苦しんでいますが、理解も支援も不十分です。女性が健康に生涯をおくるための支援や、リプロダクティブ・ヘルス&ライツにもとづく自己決定権を保障する立場からの性差を考慮した医療を促進すべきです。ところが県立病院にはかつてあった女性専門外来もありません。県立病院につくるべきです。お答え下さい。
 また、低賃金は低年金につながり65歳以上の一人暮らしの女性の相対的貧困率は約4割、シングル団体のアンケートでは「死ぬまで働く」が65%と深刻で、ここへの支援が必要です。女性も安心できる医療・年金制度への転換を国に求めると同時に、県として高すぎる介護・後期高齢者医療保険料の軽減制度を設けるべきです。それぞれお答え下さい。
 第3は、安定した住まいの確保です。昨年度から県営住宅への60歳未満の入居が始まり一定要件を満たす単身女性の入居も可能となりましたが、募集枠そのものが少なすぎるため入居できるとは限りません。支援が必要な単身女性も漏れなく入居できるよう県営住宅の募集枠を抜本的に増やすべきですがどうか。お答え下さい。とりわけ単身女性が民間賃貸住宅に入居する場合、安全確保や保証人探し、家賃の支払い等に負担や苦労が伴います。県としてこうした相談に寄り添える相談窓口を設置し、家賃補助制度も創設すべきです。お答え下さい。

 次は、三番瀬・市川塩浜の人工干潟についてです。
 三番瀬に人工干潟を造成するため、市川市が土砂を投入しています。しかし、人工干潟は三番瀬の価値を大きく傷つけ、豊かな生態系にも打撃を与えます。
 三番瀬は、東京湾に残された貴重な干潟、浅瀬です。酸素が海水に取り込まれて海藻や底生生物を支え、稚魚が育ち漁業にも適した環境を生み出しています。渡り鳥にとっても貴重な場所で、再生計画ではラムサール条約の9項目の登録基準のうち5項目を満たしているとしています。人にとってもかけがえのない憩いの場です。こうした三番瀬の価値について、あらためて県の認識をうかがいます。
 ところが、市川市の人工干潟造成計画によって、この価値が損なわれようとしています。千葉県が行った「干潟的環境形成事業」の検討では、「親水性は一定の効果が認められるが、自然環境再生への効果は限定的であり、多額の整備費や管理費を要するため、県事業として実現性は低い」と結論が出され、県は「干潟的環境形成事業」を正式に断念しています。にもかかわらず市川市は、親水性についての効果だけに着目して、憩いの場の創出や、環境意識の醸成、イベントの開催などで漁業への関心を高めることが期待できる、などと市議会で答えています。しかしこの答弁では、多額の費用がかかることについてはまったく触れていません。幕張の浜で毎年約2億円もの維持費がかかっていたことを考えれば、県が断念した理由として軽視はできません。親水性ばかりが強調されれば、自然環境への負の影響が出ることも懸念されますが、県の認識をうかがいます。
 市川市の田中市長は昨年5月の記者会見で、県が人工干潟の造成を断念したことについて、「その時のリーダーの決断ができなかったんじゃないですか」などと述べ、生物が住めるようになるのかという質問にも、「やってみなければわからない」などと答えています。これほど無責任な発言はありません。人工干潟の造成は市川市だけではなく、周辺海域全体に影響を与え、県の再生計画との整合性も問われてきます。「やってみなければわからない」などという市川市長の発言について、県として認識を示すべきだと考えますが、お答えください。
 三番瀬再生計画には、「海域をこれ以上狭めない原則」が明記されていますが、人工干潟を造成すれば、当然、海域は狭まります。これについて千葉県は、「満潮時に海面下にあれば、狭まったことにはならない」としてきました。しかし、三番瀬再生計画では、「三番瀬の海域の範囲は、干潮時の水深5m以浅の範囲」、という干潮時の5mまでの浅い範囲を基準にしています。人工干潟は、干潮時には海面上に土砂が露出して陸地化するので、再生計画で定義している三番瀬の範囲を狭めることになります。これでは再生計画との整合性は取れないと考えますが、県の認識をお聞かせください。  そもそも、人工干潟は生態系に大きな影響を与え、そこに生息する生物は死に絶えることになります。現状でも、気候変動などの影響で生物をとりまく環境が悪化してきています。こうしたときにやるべきなのは、これ以上悪化させないことであり、人工干潟の造成などは論外です。しかも、市川市が今回投入した土砂は、市川漁港の航路に堆積したものであり、ダイオキシン類が検出されています。(議場配付資料をご覧ください)

 真っ黒いヘドロ状の土砂が投入され、目撃した市民に不安を与えています。県として今後の土砂の投入を許可せず、市川市に断念を求めるべきだと考えますが、お答えください。
 人工干潟の造成が人命を奪った事故も起きています。兵庫県明石市の大蔵海岸で、2001年12月に人工砂浜の陥没事故で4歳の女児が生き埋めになって命を落とす悲惨な出来事が起きました。この事故では、国と市の元幹部職員4人が、禁固1年、執行猶予3年の有罪判決を受けています。市川市でも同様の事故が起きないとも限りません。こうした事故について県の認識をお聞かせください。
 人工干潟の造成は、どの角度から考えても、中止以外にありません。県の強力なイニシアチブを求めるものです。
 次は特別支援学校についてです。
 1つ目は、特別支援学校の教員不足についてです。
  今年度の始業式時点で県内の全ての校種の講師未配置数は96。9月1日時点では、222に増えました。2人以上未配置の小学校・中学校・高校では9校ですが、特別支援学校では14校に上ります。そのうち4人以上未配置の特別支援学校は5校もあります。大変深刻な状況です。なぜ、特別支援学校での複数未配置が他の校種と比べてけた違いに多いのでしょうか?お答えください。
 講師未配置の特別支援学校では、教頭や教務主任、 学部主事、特別支援教育コーディネーターも入れ替わり立ち替わりクラスに入るが、指導計画や教材の準備は担任が残業をしてやっている。子どもがパニックを起こして落ち着かない、床に寝転がって大声で泣く、クールダウンできる部屋もなく先生も教室から離れられず、パーティーションやカーテンで仕切った教室に子どもの声が響き渡る。同性介助が基本のため、男の子のトイレ介助のために次々と声がかかる男性の先生はずーと走り回り、トイレ前で子どもは待っている。これらは、講師未配置の特別支援学校の実情です。
 教員不足は、他の教員の負担になり、そのしわ寄せは子どもたちに押し付けられます。障害に応じた丁寧な学びを保障するため、直ちに特別支援学校の教員を増員し、未配置を解消すべきではないでしょうか?お答えください。
 2つ目は、特別支援学校への通学支援についてです。
 特別支援学校に通う子どもの教育・学習の保障のために、県教育委員会はスクールバスの運行や経済的負担の軽減、限定的ですが医療的ケアの必要な子どもへの通学支援事業を行っています。しかし、それでも保護者負担は大きく、スクールバスに乗ることが難しい場合は、自家用車での送迎。スクールバスを利用する場合でも、自宅から通学バスのバス停までの付き添い。保護者が付き添えない場合は、市町村の福祉サービスを利用する家庭もあります。県立特別支援学校に通う児童生徒の通学について、家庭に大きな負担がかかっていることについて、認識を伺います。
 通学支援としてのヘルパーの付き添いは、市町村が実施する障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスです。しかし、制度上の支援対象は保護者の入院などの短期的な理由であり、継続的な利用はできません。そのため、多くの市町村では保護者の就労の際の通学への支援は対象外です。保護者が就労していても、特別支援学校に通学できるような支援制度が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
 県内では、保護者の就労などの社会的理由で、特別支援学校への通学に利用可能な移動支援事業を実施している市があります。その事業のオプションには、「突発的な飛び出しなどの行動障害に対する支援」としての行動障害介助も、移動支援中の付随業務として認められています。働く保護者が子どもの通学に付き添えない時、しかも、道路に急に飛び出しそうになったりする場合に、行動障害介助も利用可能であれば、子どもの通学への安全性が確保されます。特別支援学校は、障害に応じた学習や、自立を図るために必要な知識や技能を身につけることを目的としています。その特別支援教育を受けるため、県は通学を保障することが大前提です。子どもの障害や特性に応じた丁寧な教育を保障するために、保護者の就労の際の特別支援学校への通学支援事業を、本来は千葉県が実施すべきではないでしょうか。併せて、先ほど紹介したような事業を広げるために、千葉県としての支援の仕組みを作るべきではないでしょうか。それぞれお答えください。

 以上で、1回目の質問とします。