【2025年9月県議会】日本共産党 みわ由美県議 議案・請願への討論

お知らせ

【2025年9月県議会】日本共産党 みわ由美県議 議案・請願への討論

日本共産党を代表し、議案・請願の主なものについて、討論を行います。

まず、議案第1号、一般会計補正予算案についてです。「エアポートシティ」構想の実現に向けた、広報戦略やロゴマーク等の策定費用4250万円が計上されています。同構想は成田空港と周辺における規制緩和による国際産業拠点形成など民間投資を誘導するものです。しかも数十年のスパンで進められる長期的なもので、今後いくら税金をかけるのか、極めて不透明であり、いま急ぐべきものとは思えません。
また、初めて県土整備部職員を、この4月から2年間、東京旧築地市場跡地の大規模再開発を手掛ける三井不動産株式会社へ派遣していることが判明しました。今年度だけで、知事部局職員を9名も民間企業に派遣しています。そもそもなぜ民間企業への派遣が必要なのでしょうか。この間、県土整備部でも、企業局でも、重大な不祥事が止まりません。これでは民間企業との新たな癒着が生まれかねない懸念も拭えません。よって、本議案に反対します。

議案第8号並びに第16号は、九十九里地域及び南房総地域の水道用水供給事業を統合し県企業局で行うにあたり、条例の制定や改正を行うものです。異論はありませんが統合後、ウォーターPPPや民営化などはおこなわないこと、各自治体や住民の意見を反映させる仕組みをつくること、料金値上げは行わないことをつよく要望しておきます。

議案第17号は、新たな千葉県総合計画の策定です。基本理念は「県民を守り、支え、飛躍する千葉県」となっていますが、羊頭狗肉になっていないでしょうか。本会議でも指摘したように、災害対策の避難場所、備蓄物資の確保は市町村任せ。千葉県の高齢者一人当たりの老人福祉費は10年連続全国最下位、介護施設や医療機関からも危機的事態に悲鳴が上がっているのに、新たな県独自の抜本的な支援策はいっさい打ち出されていません。
県内中小企業の賃上げも2年続けて2割もの企業が出来てないのに、茨城県など5県が実施している賃上げ直接支援には、県は全く見向きもしない。その一方で財界儲けの巨大開発は止まらない。県民生活や中小業者によりも、大企業に顔を向けていると言わざるを得ません。
また、総合計画は県の最上位の計画であり、憲法と地方自治法に示された自治体の責務を実現するための計画でなければなりません。にもかかわらず、今回「県行政を『経営』する」などの視点が盛り込まれたことは、看過できるものではありません。よって、議案第17号に反対します。

議案第24号は、柏北部中央地区区画整理事業内の都市軸道路の整備に関する契約案件です。この都市軸道路に、県はこれまで道路事業、街路事業などで162億円、今回は9・5億円、今後も291億円もつぎ込む計画です。完成時期さえ明示できない大規模道路事業に莫大な予算を投入することに賛成できません。

議案第30号は、5年前に県立高校の教育実習で指導教諭からパワハラを受けた当時大学4年生の女性が、県に損害賠償を求めた訴訟です。賠償額の決定及び和解自体に異論はありません。そのうえで「千葉県は学校でのハラスメントの根絶に努める」という点で、いかなるハラスメントも許さない実効ある対策が必要です。そのためにも県が教育実習要綱を定めるべきです。実習を、受け入れ校や指導教諭任せにせず、組織的に対応できる抜本的な体制強化を求めます。

次に請願です。請願第54号は、教員の未配置を完全に解消するための抜本策や少人数学級を求めるものです。今年の年度初めの未配置は96人、うち当然配置されるべきはずの定数欠員が18人と、新学期のスタートに教員が定数に満たない事態が続いています。先生が一人でも足りないと、困難を抱える子ども達への丁寧な支援や、教員の働き方改革に大きなマイナスです。また昨年県教委が、1クラス35人なのに40人までなら良い、と通知したことから、今年度は17校21学年で35人超えの学級があります。即刻改め本請願を採択し、教員の大幅増と待遇改善、少人数学級の本格実施を強く求めます。

請願第55号は、来年度、千葉県議会の海外行政調査事業いわゆる海外視察を行わないよう求めるものです。県民生活が窮地に陥っているのに、ビジネスクラスで巨額の税金を使った海外視察ですか。昨年度は、近隣でも東京、埼玉、群馬、茨城、栃木県等では行いませんでしたが、千葉県はドイツ・オランダへの海外視察に2500万円を超える血税を投入し、なんと1泊の宿泊代が11万2千円ものホテルに2泊しています。県民の理解は到底得られません。本請願を採択し、来年度、県議の海外視察はキッパリ止めるべきです。

最後に、請願第57号は、県営水道料金の値上げ中止を求めるものです。知事が値上げを表明して以降の1年間、県内でも猛暑のなか物価は上がり、米価格は高止まりです。しかも賃上げは追いつかず、実質年金は減る、加えて帝国データバンクによれば10月からも3024品目の飲食料品値上げで、ますます県民生活も地域経済も大ピンチです。
こんなときの県営水道の値上げは、県による追い打ちをかけることであり許されません。
代表質問でわが党は、県資料に基づき独自に試算し、いわゆる一般家庭等の値上げは回避できると提案を行いました。大手企業などの従量料金見直し、企業債の活用や一般会計からの繰入等々、可能な限り策を講じれば、値上げは中止できます。他の自治体でも同様の課題に直面していますが、住民生活等を守るため、懸命の努力と工夫で基本料金の無料化や値上げ延期が行われています。問題は、千葉県では、値上げを前提とした検討は行ってきたが、値上げを回避するためどうするか、その検討が全く行われていないことです。
今こそ、憲法と水道法の原点に立ち返り、「命の水」を守り、確保するという政治の責任を自覚すべきです。よって本請願を採択し、県営水道料金の値上げ中止を強く求めます。 

以上、討論を終わります。