お知らせ
【2025年12月県議会】日本共産党 加藤英雄県議 2024年度決算認定反対討論
日本共産党を代表し、2024年度決算認定に反対を表明し、以下討論を行います。
2024年度は、元日に発生した、最大震度7の能登半島地震による甚大な被害が広がる中、これへの救援・復興支援に奔走し、改めて災害から県民の命と暮らし、財産を守る自治体の在り方が鋭く問われ、さらに夏には、スーパーの陳列棚から米が消える、米不足と米価高騰が列島中を震撼させ、加えて9月には知事が水道料金の値上げを表明し、物価高騰に追い打ちをかけるような家計への負担増に、多くの県民が値上げ反対を表明する事態となっています。
総じて2024年度は、災害や物価高騰からいかに県民を守り支えるのか、千葉県が自治体の本文である「住民福祉の増進」という役割を果たしてきたのかどうかが、行政各分野で問われた一年でした。
そのうえで指摘しなければならない第一は、災害から県民を守る県の役割と責任についてです。能登半島地震の死者数は672人、その内、災害関連死は444人と66%にも上っています。いったん避難所に身を寄せたにもかかわらず、劣悪な避難所環境の中、残念ながら命を落とす災害関連死、絶対にあってはならないことです。
昨年、県はやっと2300を超える市町村の指定避難所の備蓄状況を調査しました。水、食糧、毛布等、約4分の一の避難所が備蓄ゼロだったことが明らかになりました。では今はどうか、若干の進展はあるものの、抜本的に改善するには程遠い事態が、なお続いています。市町村とも協力し、すべての指定避難所に最低3日分の水・食糧・毛布等の備蓄、避難所の衛生、食事、プライバシー、ジェンダーへの配慮など、抜本的改善が図られるまで、予算措置含めた支援をすべきです。
第二に、県民の暮らしに直結する県営水道の値上げについてです。昨年9月議会で知事は「試算を行ってきたが、赤字が見込まれる」ことから「料金値上げは避けられない」と、初めて料金値上げに言及した答弁を行いました。
決算審査において、「昨年度、『値上げを回避するための検討を』との、知事からの指示はなかったのか」との問いに、明確な答弁はありませんでした。結局、知事の値上げ答弁が引き金となり、「値上げ幅をどうするのか」、値上げを前提にした検討しか行われてこなかったのではありませんか。
全国的には、連続する物価高騰で暮らしが脅かされている中、期間限定でも、水道基本料金を無償にする自治体や、値上げを当面先送りする自治体など、住民負担軽減への努力が行われています。
値上げは回避できます。まだ間に合います。改めて、現状の料金体系の根本的見直しを含め、値上げを回避するための検討・努力を行うべきです。
第三は、職員へのコンプライアンスの徹底と働き方についてです。この間、県土整備部の幹部職員2名、企業局水道部の若手職員3名を、入札情報等の漏洩、官製談合防止法違反で懲戒処分としています。
あとを絶たない不適正事案に共通しているのは、事業者・利害関係者からの酒食を伴う接待が引き金になっていることです。そもそも、職務を遂行する上で、なぜ、利害関係者・受注業者などとの飲食を伴う、会合や懇親会が必要なのか。やっぱり不適切な関係へと発展させないためには、「取引事業者との酒食を伴う接触は原則禁止」を打ち出し、利害関係者・受注業者や県民にも、県の姿勢をアピールし、県民ぐるみで監視の目を光らせることなのではありませんか。踏み込んだ県の対応を求めるものです。
さらに、県職員の時間外勤務についてです。昨年度、知事部局における月45時間を超える時間外勤務を行った職員が2172人、年360時間を超える時間外勤務は1312人と、いずれもこの5年間で最多となっています。とりわけ過労死ラインと言われている、月80時間越えの時間外勤務が395人に上っています。問題は、この内、労働安全衛生法にもとづく医師の面談を受けた職員は286名に留まり、109名は未実施となっていることです。医師の面談が受けられなかった理由が「業務が多忙で後回しになっている」というものであり、まさに本末転倒です。知事の責任で優先的に面談の時間を確保すべきです。
第4に、第3次整備計画に基づいて、教室不足・過密状況解消に向けた取り組みを進めていたはずの特別支援学校において、過密化がより深刻になっていることです。教室不足は220だったものが、263へと拡大し、知的障害の児童・生徒の過密状況は計画策定時858人だったのが、1573人へと、ほぼ倍にまで悪化している現状が明らかとなりました。想定以上に児童・生徒数が増えたのが要因だとしています。だとしたら、ただちに今後の児童・生徒数の推計を再度、精査し、整備計画の見直し・修正を行うべきです。
その際、既存校の校地・校舎の活用、既存校舎の増築という二つの整備手法に加え、抜本的な予算措置を行い、新設校の増設を大規模に進めるべきです。県教委の最大の役割は、教育条件整備にあります。現状を直視し、ただちに打開を図ることを求めるものです。
最後に、予算執行の優先順位を、根本から転換することです。物価高騰対策を含め、他県でもすでに踏み出している、中小企業への賃上げ支援やひん死の状態にある医療、介護への直接支援などは、全く手つかずの状態でした。求められる緊急、必要な住民サービス・事業を明確にし、優先的に予算措置を行うことが必要です。
量出制入、県民の暮らしと生業の視点に立った予算執行へと抜本的転換を図ることを強く求め、討論を終ります。



