【2025年6月県議会】日本共産党 加藤英雄県議 議案・請願への討論

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【2025年6月県議会】日本共産党 加藤英雄県議 議案・請願への討論

 日本共産党を代表し、議案・請願の主なものについて討論を行います。

まず議案第1号、一般会計補正予算についてです。
 現下の経済情勢のもと、この時期の地方自治体の予算に最も求められているのは何か。連続する物価高騰が県民の暮らしを直撃しているもとで、年金生活者や低所得者、シングルマザーや非正規労働者など、最も困難な人たちに光を当てるのが政治の役割であり、いま必要なのは県民の命と暮らしを守るための直接支援です。
政府も、全国民対象の2万円の給付金、直接支援を打ち出さざるをえなくなりました。
茨城県では、時給を35円以上引き上げた中小企業に正規雇用1人当り5万円、非正規雇用1人あたり3万円を支給する、中小企業への直接支援を6月2日から開始しています。岩手、徳島、奈良、群馬県などに加えて、直接支援が広がってきています。
県の今年度の一般会計の当初予算規模は、昨年度比で781億円増となっています。中心は県税収入の伸びで、その78%・627億円は個人県民税と地方消費税の増額によるものです。だとしたら、その一部を県民の暮らしと中小企業の直接支援へとまわすべきです。
加えて指摘しなければならないのは、議会と県民への約束であった、私立高校の授業料減免の制度見直しが先送りされていることです。知事は昨年の12月議会で、県の授業料減免の制度見直しを表明しました。その後の常任委員会でも「拡充の方向で考える」と答弁しておきながら、今年度予算では制度の見直しは行われておりません。
ご承知のように、国は高校の授業料を支援する就学支援金を大幅に拡充しました。公立高校では所得制限を撤廃し、私立高校でも年収910万円以上の世帯にも、公立と同額、年118,800円を支給する措置を取りました。これによって県の就学支援事業には国費分28億円が増額されています。なのに県の私学助成の一般財源予算は、昨年度比で約10億円もマイナスになっています。これはいったいどういうことなのか。「制度の見直し」「拡充」などと言っておきながら、国が増やした分はいただいて、県の持ち出し分は減らす、こんなことは到底認めるわけにはいきません。よって議案第1号に反対いたします。

 議案第6号、特別会計流域下水道事業補正予算には、江戸川第一終末処理場の整備費が計上されています。江戸川第一終末処理場は最終的には水処理8系列まで整備する計画ですが、計画人口分を処理するには5系列で対応できることが明らかになっています。残りの3系列は市段階の開発人口を想定したもので、24年後の2049年、令和31年度までの流入水量を見込んでいるとしていますが、常任委員会ではその根拠を示すことができませんでした。過大な需要予測にもとづく過大な事業計画であり、根本的見直しを求め、本議案には反対いたします。

次に請願についてです。
 請願第51号は、選択的夫婦別姓制度導入の法改正を進めるよう、国への意見書の提出を求めるものです。今国会で28年ぶりに選択的夫婦別姓制度導入の委員会審議が行われましたが、結果は継続審議、次期国会に先送りされています。
 いま世界で夫婦同姓を義務付けている国は、日本だけです。国民世論もすでに7割以上が選択的夫婦別姓制度の導入に賛成し、日本経済団体連合会(経団連)も制度の導入を求めて政府に提言を出しています。国連の女性差別撤廃委員会も20年以上前から、4回にわたって、日本政府に対し法律で夫婦同姓を義務付けることは女性差別であり、直ちに改正すべきと勧告してきました。
 婚姻時に改姓するのは、現在も女性が95%であり、姓の変更を強制していることは、仕事や社会生活を送るうえでの様々な不便不利益をもたらし、個人の尊厳を脅かしています。
 2021年6月の最高裁大法廷も、国会での立法による解決を促しており、夫婦別姓を可能にする法改正は待ったなしの課題となっています。本請願を採択し、政府に速やかな法改正を求めるべきです。

 請願第52号は、消費税の5%への引き下げとインボイス廃止の意見書の提出を求めるものです。5月の消費者物価指数が前年同月比で3.7%上昇し、5カ月連続で3%台の上昇となっており、他方、現金給与総額(名目賃金)が前年同月比で2.3%増加しているにもかかわらず、物価の上昇率がそれを上回り、実質賃金は3年連続でマイナスとなり物価上昇に賃上げが追い付かない状況が常態化してきています。
6月に共同通信社が行った世論調査では、「消費税の減税・廃止」を望む回答が73%となっており、物価高騰対策として消費税減税が国民から求められていることを示しています。
物価高騰への緊急対策として消費税率を5%に引き下げる減税は急務であり、消費税が5%になれば、複数税率に対応するといって導入されたインボイス制度の口実もなくなります。
 問題は減税の財源をどこに求めるのかということです。国債発行などに頼るのではなく、中小企業を除く法人税率を引き下げ以前の水準に戻すことや、所得1億円を超えると税負担率が減っていく、いわゆる「1億円の壁」を見直すなど、大企業や富裕層を優遇する税制を正して応分の負担を求める税制改革によって恒久的財源を確保することは充分に可能です。
 本来、税制及び財政は、所得の再配分によって暮らしを守り格差を是正するためにあります。低所得者からも税を取り立てる現行の消費税の仕組みは、生計費非課税の原則や、応能負担原則にも反するものになっているのが現状であり、本請願を採択し、実効ある物価高騰対策を求めようではありませんか。

 請願第53号は、会計年度任用職員である非常勤講師の処遇改善を求めるものです。
 教員未配置が学校現場に深刻な影響を与えているもとで、教育活動を支える役割を果たしてきているのが非常勤講師です。特別支援学校では、これまで教育課程における教科指導を行うとしていたものを、自立活動等の指導も可能としました。
 非常勤講師の賃金は時給換算で支給されていますが、千葉県は時給1,630円で、1都3県では最低となっています。
 昨年、教育委員会は県人事委員会に対し、再任用教員や臨時的任用講師は、現場において正規教員と同等の役割を果たしているとして、賃金アップ・処遇の改善を求めています。非常勤講師も現場を支える重要な役割を果たしており、本請願を採択し処遇改善に踏み出すべきであることを強調し、討論を終ります。