【2024年12月県議会】日本共産党 丸山慎一県議 一般質問

お知らせ

【2024年12月県議会】日本共産党 丸山慎一県議 一般質問

 はじめに知事の政治姿勢として「非核平和千葉県宣言」についてうかがいます。

 「宣言」は、1994年10月、千葉県議会で全会一致で採択されました。今年はちょうど30周年です。核兵器廃絶と世界の恒久平和をかかげた宣言は、武力衝突が広がっているいまの時代にこそ、必要なものとなっています。知事として、非核平和千葉県宣言を尊重すべきだと考えますが、認識をお聞かせください。

 宣言では、「国際社会の理性を信頼し全世界の協力により、戦争という手段によらずに紛争を解決する道を追求するものである」と明記しています。しかし、ロシアがウクライナに攻め込み、イスラエルがガザに総攻撃を仕掛けているいま、政府は外交を投げ捨て、軍備増強一辺倒となっているように見えます。軍事費も、はじめに5年間で43兆円ありきの異常な軍拡が進められています。この政府の姿勢は、「戦争という手段によらず」と記している非核平和千葉県宣言の方向とは相容れないと思いますが、いかがでしょうか。

 核兵器でも、戦後79年もたつのにいまだに地球上には、1万2500発もの核兵器があり、そのうち3割を超す3900発が実戦配備されています。その一方で核兵器の廃絶を願う声も大きく広がり、2017年には国連で核兵器禁止条約がつくられ、今年10月には日本原水爆被害者団体協議会=日本被団協がノーベル平和賞を受賞しました。ノーベル委員会は受賞理由として、「原子力爆弾の生存者たちによる草の根運動は、核兵器が二度と使われてはならないことを証言を通じて示してきた」と述べ、「一つの心強い事実」として、「80年近くの間、戦争で核兵器は使用されてこなかった」と指摘しています。非核平和千葉県宣言に込められた思いも、これと同じではないかと考えますが、知事の認識はどうでしょうか。
 今年3月末の被爆者の人数は、10万6825人で、千葉県は1609人となっています。この被爆者の思いをつないでいる「非核平和千葉県宣言」を、30周年にあたって、あらためてすべての県民に届ける必要があります。「県民だより」には毎年全文を掲載していますが、県として、小中高校の児童生徒一人一人に宣言を届けることや、県立公園に宣言全文を記した看板を立てるなど、あらためて周知に努めるべきだと考えますが、お答えください。

 次に、新湾岸道路についてうかがいます。

 昨年9月の代表質問で新湾岸道路について、60年も前に決められた道路構想に基づく計画であり、経済や人口など時代の変化に対応する必要があることや、三番瀬再生計画への影響は避けられないこと、千葉市の海沿いでは住環境への影響があることなどを指摘しましたが、どれ1つとして具体的な答弁はありませんでした。これでは、住民の納得を得ることなど、到底かないません。
 そもそも新湾岸道路がほんとうに必要なのか、あらためて検証が必要です。知事は、渋滞解消、防災対策、国際競争力の向上などを理由に上げていますが、新湾岸道路が完成した場合、広い範囲で交通量に影響がでます。渋滞の解消が目的だというのであれば、どこの渋滞がどのくらい減少するのか、効果を示すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

  外環道路の場合、事業化から開通まで30年、40年という年数がかかりましたが、新湾岸道路も同じです。仮に開通するのが30年後とすると、そのときの千葉県人口は、ちばぎん総研の推計では544万人で、いまより84万人、13%も減る見通しとなっています。しかも15歳から65歳のいわゆる現役世代では83万人の減少で、2割以上減ります。そうなれば、交通量も大幅に減り渋滞も緩和の方向に向かうと思いますが、知事の認識をお聞かせください。
 国際競争力の向上について常任委員会で、どんな競争力がどのくらい向上するのか聞きましたが、具体的な答弁はなく、「定性的なもの」、つまり数量では表せないものと答えました。こんな不確かな根拠で、1兆円規模の事業費が見込まれ、完成まで数十年もかかる高規格道路の建設に踏み出していいのでしょうか。ひとたび事業が決定されれば、そこから引き返すのは様々な困難が伴います。事業決定の前に、十分な検証と議論を行うべきであり、県民が納得できる根拠を示すべきだと思いますが、お答えください。
 新湾岸道路について、現在、来年2月を期限に1回目の意見募集が行われ、その後、ルートや構造について複数案を示すとしていますが、その中に「建設しない」という選択肢はあるのでしょうか。環境影響評価や都市計画決定など、事業化に向けた手続きが行われる前に、「つくらない」という選択肢も県民に示して議論を呼びかけるべきだと思いますが、答弁を求めます。

 続けて市川市が進めようとしている人工干潟についてうかがいます。

 市の事業は、三番瀬の塩浜護岸前面に土砂を投入して、人工干潟の造成を進めようというもので、まずは、縦50m、幅100mの実験場をつくり、これを足場に広大な人工干潟を造成しようというものです。海域への土砂の投入は国有財産法などによる県の許可が必要であり、県の判断が注目されています。その際、考えなければならないのは、三番瀬再生計画との整合性です。
 再生計画では、三番瀬について「多様な自然環境が残され、多くの生物が生息してい」る「ことから、これらを損なうことなく保全していく必要がある」と書かれています。市川市の人工干潟造成で、広範囲に土砂が投入されれば、そこにいる生物は死に絶え、生態系への影響も少なくありません。これは、多様な自然環境を損なうことなく保全していくという再生計画の趣旨に反すると考えますが、県の認識をお聞かせください。
 また、再生計画には「海域をこれ以上狭めないことを原則と」することも明記されていますが、人工干潟が造成されれば、その分、海域は狭くなります。ここでも再生計画と矛盾すると思いますが、県の認識はどうでしょうか。
 この間、指摘されているのは投入しようとしている土砂の品質です。市川市は、これまで浦安沖などに捨てていた市川漁港の航路の浚渫土砂を人工干潟の造成に使おうとしていますが、この土砂から、バナジウムや水銀、ダイオキシン類などの有害物質が検出されています。基準値を下回っているものの、わずかでも有害物質で汚染されている土砂を、三番瀬の生物多様性を支える最も重要な場所の1つに投下するのは、生態系に悪影響を与える可能性を否定できません。汚染されている土砂の護岸前面への投入に許可を与えるべきではないと考えますが、お答えください。

 次に県立高校の再編についてうかがいます。

 千葉県教育委員会は県立高校について、10年間で10組程度の統廃合を掲げ、都市部では1学年5学級以下、郡部では3学級以下の学校を、適正規模に満たないとして統合や再編の対象にするとしています。そして現在、船橋豊富高校・船橋北高校・八千代西高校・沼南高校・多古高校・九十九里高校・市原高校の7つの学校をあげ、関係者から意見を聴取するための「地域フォーラム」を開いています。しかし、県教委が適正規模としてあげている学級数は、あくまでも学校経営上の効率性を基準にしたものであって、教育効果を判断する基準にはならないと思いますが、いかがでしょうか。
 先日、適正規模に満たなかったり、定員割れしている県立高校を訪問してお話をうかがい状況を見てきました。
 ある高校では定員割れで20人程度となっている学級をさらに二つに分けて10人ほどで授業を行っていました。そこでは、先生が一人一人の生徒をゆっくりと回りながらと教えていました。この高校では小学校や中学校のときに不登校だった生徒もいます。外国語を母語とする生徒や家庭環境で不安を抱える生徒、児童養護施設から通っている生徒もいます。「引き算のわからない子や足し算さえわからない子もいる」という話も出されました。こうした現場の様子にふれ、多様な生育環境のなかでつまずいたり、もがいたりしている子どもたちに寄り添う教育になっていると痛感しました。教育長は、定員割れしているからこそ可能なこうした授業風景をご覧になったことがあるでしょうか。あるのであれば、感想をお聞かせください。無ければ、ぜひ一度、見にいっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

こうしたきめ細かな指導は生徒が40人もいたら、なかなかできるものではなく、少人数だからこそ可能になります。ある保護者は「小中と学校に行けなかったのに、高校では行けるようになって良かった」と話しています。各地の地域フォーラムでもPTA会長から、「1クラス11人で先生が丁寧に見てくれる。素晴らしいことだ」との意見が出され、中学校の校長は「私立ではこうはいかない。貴重な受け皿となっている」と話しています。私立高校には私立高校としての役割があります。そして県立高校には県立高校として、どんな生徒であっても学びたいという子どもたちをすべて受け入れる役割と責任があると考えますが、教育長の認識をお聞かせください。
 いまやるべきなのは、少人数学級の実現であって、高校統廃合ではありません。統廃合は断念すべきです。お答えください。

次に、県営住宅を中心とした県の住宅施策についてうかがいます。

 住生活基本法では、「住宅が国民の健康で文化的な生活にとって不可欠で」あり、「低額所得者、高齢者、子どもを育成する家庭等の居住の安定の確保を図る」との基本理念がうたわれています。また、千葉県の住生活基本計画には、住宅に困っている低額所得者に対して安い家賃で住宅を貸し出し、生活の安定と社会福祉の増進に寄与するという県の責務が明記されています。「住まいは福祉」、「住まいは人権」というこの考え方は、県が住宅施策を進めるにあたってきわめて重要だと考えますが、知事の認識はいかがでしょうか。
しかしいま、この基本的立場や役割が十分果たされているとは言えません。
 例えば、県営住宅の年4回の募集戸数は毎回200戸前後なのに、応募者数は1000を超え、昨年度の最高倍率は10・4倍にもなっています。その一方で空き家はどんどん増え続け、この10年間で2・5倍にもなっています。求めている県民がいて空き家もあるのに、その空き家を提供しようとしない。こんなもったいない話しがあるでしょうか。空き家を無駄なく活用するため募集戸数を大幅に増やすべきだと考えますが、お答えください。

 県が県民の願いに応えられないのは、予算を削っているからです。昨年度、募集可能な空き家戸数は3299戸でしたが、入居を募集したのは882戸、わずか4軒に1軒です。空き家をリフォームして入居募集するための予算は、2020年度には8億4千万円あったのに、24年度は6億4千万円へと大幅に減っています。これでは、ストックの活用などできるはずがありません。減らされた空き家修繕費を抜本的に増額し、県民の要望に応えるべきではないでしょうか。お答えください。

 家賃の減免制度も十分に活用されているとは言えません。千葉県では入居者にたいして、政令月収に応じた独自の家賃減免制度を作っていて、多くの入居者から喜ばれています。しかし、政令月収から推測される減免可能世帯は1万1千世帯もあるのに、昨年度末の家賃減免は2598世帯で、2割程度にとどまっています。もちろん、政令月収以外の条件もあるので、残り8割の世帯すべてが減免を受けられるわけではありませんが、それでも申請すれば受けられる世帯が相当数取り残されていると推測できます。制度を周知するとともに、政令月収からみて可能性のある世帯すべてに申請書を送るなど、申請を促す手立てを取るべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 これを強調するのは、いまからちょうど10年前に起きた県営住宅での母子無理心中事件があるからです。中学2年の娘と入居していた母親が、家賃の滞納を理由に強制退去命令を受け、執行当日に無理心中を図りました。この母親は減免を受けられた可能性があるのに申請していませんでした。もしも減免されていれば家賃が支払えて、いまも幸せな人生が続いていたかも知れません。県としてこの事実は絶対に忘れてはならないと考えますが、10年たったいま、あらためて県の認識をうかがいます。
 県営住宅では、自治会が共益費を回収していますが、入居者の高齢化がすすみ、樹木の剪定作業などもできなくなるなど、自治会活動に支障が出ています。また、空き家は住民の責任ではないのに共益費を徴収することが出来ません。県が共益費を徴収するとともに、県と住民との管理作業の分担を見直すことや、空き家の共益費は県が負担するなど改善すべきだと考えますが、お答えください。

 質問の最後に、県が導入を進めている宿泊税についてうかがいます。

 千葉県は、研究会や検討会議を設置して宿泊税の導入を検討してきましたが、このほど県の素案が公表され、現在、市町村や事業者への説明会がおこなわれています。宿泊税は、ホテルなどの宿泊客に支払いを求めるもので、素案では1人1泊150円の税額となっています。昨年の県内宿泊者数約2800万人で試算すると年間約42億円の新たな課税となります。国の統計によれば、その6人に1人が県内居住者なので、約7億円が新たな県民負担となります。
 そして今回の素案の最大の特徴は、国際条約に基づくもの以外は、いっさいの例外や配慮を認めず、厳しく取り立てるものとなっていることです。すでに実施している東京都では、民宿を課税対象から除外し、宿泊料金1万円未満は非課税としています。大阪府も7000円未満は非課税です。京都市や長崎市では、修学旅行生への課税を免除していますが、千葉県にはその規定もありません。民宿などの小規模事業者も一律150円、宿泊代金が数千円でも数万円でも一律150円、修学旅行生も一律150円、これではあまりにも配慮がなさ過ぎるのではないでしょうか。知事の認識をお聞かせください。
 修学旅行は教育の一環として行われているものです。教育の無償化を求める声が広がり、学校給食費や高校の授業料などでも減額や免除の措置が取られてきています。修学旅行も教育の一環として無償化すべきですが、実際には、小学校中学校では5~6万円程度、高校では10万円程度の負担が保護者に課せられています。千葉県の場合、そこに1泊150円とはいえ宿泊税が加算されることになります。これまで宿泊税は、税金や観光振興の観点でしか検討されておらず、教育的側面が欠落しています。県教育委員会として、少なくとも修学旅行など学校教育上必要な宿泊については、宿泊税を免除するよう知事部局に求めるべきではないでしょうか。お答えください。

 県の素案では、市町村が、県とは別に宿泊税を導入する場合、単純に上乗せして宿泊者の負担を増やすことにしていますが、福岡県では、その分を県の宿泊税から差し引き、宿泊者の負担が増えないよう配慮しています。千葉県でも、利用者や市町村への負担を考慮して県税から差し引く措置をとるべきだと思いますが、お答えください。

 宿泊税導入による約42億円の新たな税収の使い道について県は、観光事業者支援、人材育成、ワーケーション推進、アクセス向上など幅広く上げていますが、42億円という額の積算根拠については、ソフト事業は1事業当たり概ね0・1億円から1億円、ハード事業は1億円から5億円を目安に積み上げたものとしていますが、あまりにも大雑把すぎて、根拠は無きに等しいものと言わざるをえません。しかも半分の21億円は大手を中心にした旅行業者などに補助金として支出することになっています。これでは、宿泊業者、とりわけ中小規模の事業者や地域の活性化につながる保証はないと言わざるを得ませんが、認識をお聞かせください。
 なぜ、こういうことになってしまったのか。それは、実際にホテルや旅館を経営している方々の声が反映されていないからです。昨年10月から今年2月まで5回開かれた研究会は、6人の委員のうち旅館やホテルの直接の関係者は1人しかいません。後継組織として4回開かれてきた検討会議も6人中1人だけです。しかも、検討にあたって実施されたアンケートは、2900軒を超える県内宿泊施設から、わずか144件=4%あまりしか回答がありません。先日、ホテル経営者の方々と懇談する機会がありましたが、「経営者が入っていないところで決めないでほしい」「関心が高まってきたいま、もう一度アンケートを採ってほしい」との強い要望が出されました。あらためて、実際に経営している地域の組合などの意見を聞く機会をもうけるべきだと考えますが、いかがでしょうか。また、いまの段階ですべての宿泊施設を対象にアンケートを実施すべきだと考えますが、お答えください。
 そもそも「取りやすいところから取る」ようなやり方で県民や千葉県を訪れる人たちに新たな税金を強制し、宿泊業に新たな負担を与えること自体、大きな問題があります。宿泊税は導入を断念して、観光業の支援のための財源は税金の使い方と集め方を切り替えることによって生み出すべきだと考えます。お答えください。

 以上で一回目の質問を終わります。


◎熊谷俊人知事 共産党の丸山慎一議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、政治姿勢についてお答えいたします。
 非核平和千葉県宣言に対する認識についての2問は関連がありますので一括してお答えいたします。
 平成6年10月に千葉県議会で決議をされた非核平和千葉県宣言では、核兵器の廃絶と世界の恒久平和の願いが表されており、戦争のない平和な社会を次世代に引き継いでいくことが、今を生きる私たちの責務であると考えています。
 次に、宿泊税導入についてお答えいたします。
 観光業の支援のための財源についての御質問ですが、有識者の方々などとも議論をしてきたところですが、観光ニーズの多様化や急増するインバウンドへの対応、デジタル化の進展など、観光業を取り巻く環境が激変をしていく中で、新たな観光の促進を図っていくためには、広域的な観点から様々な施策を継続的に実施をしていく必要があります。これらの施策の実施に当たっては、そのほかの行政需要に左右されない一定規模の安定した財源が必要になることから、法定外目的税である宿泊税を導入することとしたものです。 私からは以上でございます。他の質問につきましては担当部局長からお答えをいたします。

◎冨沢昇総合企画部長 まず、安全保障に係る政府の姿勢に関する御質問にお答えいたします。
 安全保障については、国の専管事項であり、国が適切に対応すべきものです。我が国は正義と秩序を基調とする国際平和を希求し、様々な努力を積み重ねてきているものと認識しております。
 次に、非核平和千葉県宣言の周知についての御質問ですが、県では、毎年8月に非核平和千葉県宣言について、「県民だより」への全文掲載や出先機関への懸垂幕設置を行うほか、県庁舎において、原爆パネル展などを実施しているところであり、今後とも、非核平和に関する周知、広報を行ってまいります。 以上でございます。

◎四童子隆県土整備部長 私からは、まず、新湾岸道路建設についての御質問にお答えします。
 初めに、新湾岸道路の効果についての御質問ですが、新湾岸道路は高谷ジャンクション周辺から蘇我インターチェンジ周辺並びに市原インターチェンジ周辺の湾岸部において、新たな高規格道路として計画の具体化が進められております。湾岸地域では、京葉道路や国道357号をはじめとする幹線道路において、慢性的な交通渋滞による経済損失などが生じており、今後も千葉港の機能強化や物流施設などの立地により、さらなる交通需要の増大が見込まれております。
 こうした中で、多車線の自動車専用道路である新湾岸道路を整備することにより、幹線道路からの交通転換による渋滞緩和や抜け道として利用されている生活道路の交通量の減少が見込まれ、幹線道路から生活道路に至る道路の階層性に応じた本来のサービスレベルの回復が期待されます。
 次に、湾岸地域の将来の交通需要や渋滞についての御質問ですが、湾岸地域においては自動車の移動時間の5割以上が渋滞などによる時間ロスに相当するなど、深刻な渋滞が大きな社会課題となっております。国等の資料によりますと、2050年においても国内総生産は増加傾向にあり、湾岸地域の人口もおおむね横ばいと見込まれており、今後のさらなる産業の活性化を踏まえれば、将来的にも渋滞による社会的損失は看過できないものと考えております。
 次に、新湾岸道路の必要性についての御質問ですが、今後の計画段階評価プロセスにおきまして、交通や社会、地域経済に関する課題や道路計画の必要性につきまして、有識者の意見を伺いながら検討するとともに、その効果を示しつつ、地域とのコミュニケーション活動を丁寧に行ってまいります。
 次に、新湾岸道路の選択肢についての御質問ですが、計画段階評価におきましては、今後、複数案の比較検討が行われ、概略計画案は新湾岸道路有識者委員会や地域の意見を踏まえ決定されていくものと認識しております。県としましては、新湾岸道路の計画が早期に具体化されるよう、国や沿線市とともに積極的に取り組んでまいります。
 最後に、塩浜護岸前面への土砂投入の許可についての御質問ですが、県では、国有財産法や海岸法に基づく使用許可等を行う際、申請者からの提出書類等に基づき、具体的な内容を法令等に照らし合わせて審査をしております。今後、市川市から人工干潟造成についての申請があれば、同様に対応してまいります。 以上でございます。

◎井上容子環境生活部長 三番瀬再生計画と塩浜護岸への人工干潟造成についてお答えいたします。
 初めに、市川市の人工干潟造成と三番瀬再生計画の整合性に関する御質問ですが、市川市の事業は海域環境の再生等を目的とするものであり、令和5年度から干潟整備工事終了後の令和11年度までの予定で、生物や環境に関するモニタリング調査を実施し、周辺環境の保全に留意しながら進めることとされています。このため、三番瀬再生計画の目標である生物多様性の回復との整合に配慮しているものと認識しています。
 次に、干潟造成と海域の関係についての御質問ですが、三番瀬再生計画では、海域をこれ以上狭めないことを原則とし、自然の回復力を人間がサポートするという考え方に基づき、順応的管理の原則により、環境に与える影響を見ながら再生に取り組むこととしています。生物の新たな生息場の形成など、海域環境の改善を図ろうとする市川市による干潟造成の取組は、この考え方に沿うものであり、計画との整合に配慮しているものと言えます。
 なお、過去の判例によれば、干潟は海に区分されるものとされており、干潟の造成は海域を狭めることには当たらないものと考えています。
 以上でございます。

◎冨塚昌子教育長 県立高校の学級数の適正規模に関する御質問ですが、学校では授業等で知識や技能を習得させるだけでなく、生徒が友人や教職員と触れ合い、互いに切磋琢磨することを通じ、社会性や規範意識を身につけさせることも重要であり、教育課程の柔軟な編成や活力ある教育活動を展開できるよう、適正規模を設定しています。
授業の視察に関する御質問ですが、これまで農業や工業などの専門学科や総合学科、定時制課程や地域連携アクティブスクールなど、様々な県立高校の授業を視察してまいりました。各学校では、生徒数の状況にかかわらず、学び直しや習熟度別の授業などにおいて、教員が創意工夫と熱意を持ってきめ細かく丁寧に指導しており、生徒たちも意欲的に真剣な表情で取り組んでいる様子が印象に残っております。
 県立高校の役割と責任に関する御質問ですが、現在本県では、中学校卒業者の98.9%が高校に進学し、各高校では進学を希望する生徒や就職を希望する生徒、日本語を母語としない生徒、また、学び直しの機会を必要とする生徒など、様々な目的や学習ニーズを持った生徒が学んでいます。このため、生徒の学ぶ意欲や目的意識、興味関心、進路希望等の多様なニーズに応じたきめ細かな教育に取り組むことが重要であると認識しています。
 高校の統廃合に関する御質問ですが、生徒のニーズが多様化する中で、個別最適な学びの環境は重要と認識しています。一方で、学校が小規模になると行事や部活動が制限されるなど、活力ある教育活動の維持が困難となることから、統合による再編も含め、学校規模や配置の適正化を検討する必要があると考えています。
 修学旅行などにおける宿泊税の取扱いについての御質問ですが、宿泊税制度の詳細については今後検討を重ねていくことと承知しており、教育委員会としても関係部局と情報共有を図ってまいります。
 以上でございます。

◎長澤宏幸都市整備局 私からは、まず、住宅施策についての御質問にお答えします。
 住宅は、健康で文化的な生活にとって不可欠な基盤であることから、低額所得者や被災者など、特に配慮を要する者をはじめ、全ての県民が住宅を確保し、安心して暮らせる社会を目指す必要があると認識しております。このため、県では、第4次千葉県住生活基本計画を策定し、多様化する住宅確保要配慮者に対し、公営住宅や公的賃貸住宅を適切に供給するとともに、民間賃貸住宅を活用した重層的なセーフティーネットの構築に向け取り組んでいるところです。
 次に、県営住宅における募集戸数についての御質問ですが、県では、県有財産の有効活用を図るとともに、住宅セーフティーネット機能を強化するため、千葉県県営住宅設置管理条例を改正し、入居者資格を拡充しました。これにより応募可能な方が増えたことから、本年10月の募集においては、若年単身者が応募できる住戸を50戸用意するなど募集戸数を増やしたところです。今後も引き続き、県有財産の有効活用を図ってまいります。
 次に、県営住宅における空き家修繕費についての御質問ですが、県営住宅の維持管理に係る費用には、空き家修繕費のほか、入居者から依頼された日常的な修繕などが含まれています。修繕費については、計画的に維持管理を行うため、過去の実績を踏まえ、毎年度必要額を確保しており、今年度の空き家修繕費については、昨年度から増額して対応しております。引き続き、千葉県住宅供給公社とより一層連携を密にして、空き家修繕を計画的に実施し、空き家の縮減に努めてまいります。
 次に、県営住宅における家賃減免制度についての御質問ですが、県では、新規入居者に対する入居説明会の際、減免制度について説明するとともに、既に入居されている方に対しては、毎年度、家賃決定の通知を送付する際に減免制度のお知らせを同封するなど、全世帯に対して家賃減免制度を周知しています。また、家賃減免は1年以内の期間で承認しているため、既に減免を受けている全ての方に申請書の様式を送付し、申請漏れがないよう、御案内しているところです。今後も対象となる方が減免を受けられるよう、制度の周知に努めてまいります。
 次に、銚子市内の県営住宅で起きた事件についての御質問ですが、平成26年に銚子市内の県営住宅で起きた事件については、大変痛ましい事件であり、あってはならないものと認識しています。そのため、県では、県営住宅の滞納家賃の徴収において、臨戸訪問等により入居者と面談し、世帯の収支や生活状況等を把握した上で、無理のない範囲で分割納付指導などを行っています。また、必要に応じて住居確保給付金や生活保護等の福祉制度の案内を行うほか、県や市が設置する自立相談支援機関など、福祉部門との連携を図る等、丁寧な対応を行っているところです。
 最後に、県営住宅における共益費などについての御質問ですが、共益費の徴収について、県では、自治会からの相談に応じて共益費の集会所への持参集金や口座振替など、自治会役員の負担の少ない徴収方法を御案内しているところです。県と住民との管理作業の分担及び空き家の共益費負担については、団地敷地の草取り等の費用は共益費で負担していただいているところですが、募集停止により空き家が多くなっている団地の草刈りは県が実施し、共益費の負担軽減を図っています。今後、各自治会のニーズ等の把握や他県の事例等の調査を行い、共益費の在り方について研究してまいります。
 以上でございます。

◎高梨みちえ総務部長 私からは、まず、宿泊税の制度についての御質問にお答えいたします。
 現在検討している宿泊税の制度は、税の基本的な考え方である公平中立、簡素の観点を重視し、税の徴収を宿泊事業者に担っていただくことや、広域自治体である県が導入することを踏まえ、簡素で分かりやすい設計としています。有識者の方々からも一定の評価をいただいているところであり、引き続き事業者や市町村の御意見を聞きながら、制度の詳細について検討してまいります。
 次に、独自に宿泊税を導入する市町村との調整についての御質問ですが、現在検討している県の税率は、広域自治体である県が市町村への支援も含め、今後取り組むべき観光振興施策に必要な事業規模を勘案して定めたものであり、必要に応じて市町村が独自に上乗せして課税することも配慮したものとなっています。先行して導入している都府県とは異なる制度となっていますが、今後も御負担いただく宿泊者をはじめ、宿泊事業者や市町村に対して丁寧に説明をしてまいります。
 以上でございます。

◎野村宗作商工労働部長 私からは、まず、宿泊税の使途についてお答えをいたします。
 現在、宿泊税の使途については、魅力ある観光地を形成するためのDMOの人材確保支援、収益性向上に向けた観光地、施設の整備促進、デジタル技術による業務効率化やサービス向上の取組への支援など、様々な取組を想定しており、市町村や宿泊事業者に対して説明を行ってきたところです。県では、これらの使途は、いずれも中小規模の宿泊事業者や地域の活性化につながるものと考えており、説明会でもおおむね評価をいただいているものと認識しております。
 次に、地域の組合などの意見を聞く機会と宿泊施設のアンケートの実施についての御質問は関連しますので、一括してお答えをいたします。
 宿泊税については、これまでも宿泊事業者に限らず、県ホームページ上で様々な方からの御意見も広く伺っているところでございます。また、今後も事業者や市町村の皆様と意見交換を行う機会を設ける方向で検討しており、引き続き幅広く御意見を伺ってまいります。
 以上でございます。


◆丸山慎一議員 再質問を行います。

 非核平和千葉県宣言についてですが、私が伺いたかったのは、戦争という手段によらない解決の仕方、これについて伺ったので、それに対する認識をお答えいただきたいと思います。
 それから、新湾岸道路ですが、湾岸地域の人口は横ばいだとか言われましたが、湾岸地域を通過する交通によって渋滞が起きているから必要だと、こういうふうに説明しているわけですよ。全く矛盾していますよね。例えば30年後、千葉県の人口が現役世代で約2割減ります。2割減ったことを前提に車も2割減ると仮定をすると、例えば8月2日の有識者委員会に出された資料ですが、ここでは浦安市川断面、これは1日当たりの交通容量は16万6,000台、それに対して18万1,000台走っているから1万5,000台超過していますと、こういう説明になっているんですよね。この18万1,000台が、もし仮に2割減ったとすると14万4,800台になります。交通容量以内に収まるということなんですね。最も超過交通量が多い千葉市断面、ここは今22万7,000台走っていますが、これが2割減れば18万1,600台になります。交通容量は18万1,000台ですから、ほぼ収まるわけですよ。こういうことを考えれば、30年後にこの道路が仮にできたとしても、もう渋滞は解消していることが前提になりますので、ぜひそういうようなシミュレーションをやっているのか、それをお聞きしたいと思います。
 市川市の人工干潟の問題ですが、海域環境の再生が目的だと、こういうふうにおっしゃられました。しかし、県が既にモニタリングを実施していて、2015年に報告書が公表されています。そこでは、猫実川河口域には生物が多く生息しており、人工干潟を造成しても自然環境再生への効果は限定的である一方、多額の整備費や維持管理費を必要としていると、こう答えているんですね。これを根拠に千葉県は人工干潟の造成を断念しました。それと同じことを市川市が今度やろうとしているわけですよ。なのに、環境の再生が目的だと、それを認めたのでは、県がやったあのモニタリング調査というのは何だったのかということになりますよね。ぜひお答えいただきたいと思います。
 県立高校ですが、切磋琢磨するとか、部活動に支障を来すとか、そういうことをおっしゃられました。しかし、切磋琢磨する機会というのは、人数が多ければいいものではないと思います。10人の生徒の中で切磋琢磨する機会は設けられないんでしょうか。もっと言ってしまえば、県教委が適正規模と言っているのは、都市部では6学級から8学級です。ということは、5学級でもう切磋琢磨できないということですよね。5学級といえば200人ですよ。200人で何で切磋琢磨できないんでしょうか。ぜひ根拠をお聞かせいただきたいと思います。
 部活動の問題についても、部活動のチームが組めるのはいいかもしれませんが、チームが組めなくても寄り添った教育ができる、これも考えなければいけないんじゃないんでしょうか、ぜひお答えいただきたいと思います。


◎冨沢昇総合企画部長 非核平和千葉県宣言についてお答えいたします。
 非核平和千葉県宣言につきましては、戦争という手段によらずに紛争を解決する道を追求するものと宣言しているものであって、戦争のない平和な社会を次世代に引き継いでいくことが、今を生きる私たちの責務であると考えております。

◎四童子隆県土整備部長 新湾岸道路の効果の詳細についての御質問でございますけれども、現時点は計画段階評価プロセスにおきまして、概略のルートや構造を検討する段階でございまして、今後、接続する道路の位置や構造を含めまして、道路計画が具体化し、事業化される段階で詳細な効果を含め検討されるものと承知しております。
 以上でございます。

◎井上容子環境生活部長 市川市の干潟造成の件でございますけれども、市の事業につきましては市が検討し、総合的に判断されるものと考えております。県としましては、三番瀬の自然環境の再生保全が図られるよう、市川市の事業の進捗を注視しながら、適宜、三番瀬再生計画との整合について配慮を要請してまいります。
 以上でございます。

◎冨塚昌子教育長 高等学校の適正規模についての御質問ですが、高等学校教育というのは、大学等の高等教育機関への進学や実社会への接続機能を有するものです。そうした中で、高校教育では実社会や職業への円滑な移行に必要となる多様な他者と協働しつつ、課題解決に当たる力や社会の一員として主体的に参画する力などを育むことが重要であり、こうした役割を果たすためには一定の学校規模が必要であると考えます。一方で、こうした高等学校が公私問わず持つ共通性に加えまして、生徒のニーズが多様化する中で、個別最適な学びに対する対応も必要であるとは思います。そうしたところは学校規模が大きくなっても、少人数教育というものを図ることによって対応してまいりたいと、そのように考えております。
 以上でございます。


◆丸山慎一議員 答弁を聞いていて、宿泊税でも県営住宅でも、県立高校の統廃合でも、現場の状況や苦しみを全く見ようとしない、受け止めようともしない、本当に冷たい県政だと痛感をいたしました。こういう県政を変えていくために全力を尽くす決意を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。