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 【2019年9月県議会】日本共産党 みわ由美県議 「千葉県子どもを虐待から守る条例」に改正に伴う児童虐待防止対策のさらなる強化を求める附帯決議(案)への反対討論(10月10日)

 日本共産党を代表して、発議案第3号「千葉県子どもを虐待から守る条例」改正に伴う児童虐待防止対策の更なる強化を求める付帯決議(案)について、討論をおこないます。
 この付帯決議案は、全会一致で可決された「千葉県子どもを虐待から守る条例の一部
改正」に関して提案されたものです。付帯決議案には、一時保護所の定員増、児童相談所の増設、職員のさらなる増員、子どもの権利保護、妊娠段階からの相談支援の充実など、わが党も賛同できる内容が多く含まれています。虐待防止は、県政の緊急かつ重要な課題の一つであるだけに、この付帯決議案についても、ぜひ全会一致で可決を、との立場から、慎重に精査、検討しました。
 ところが、残念ながら、一ケ所、黙過できない疑義が出てきました。具体的には2.児童相談所と関係機関との連携強化についての、(3)警察との間における虐待対応事案の「全件の情報共有」、つまりすべての情報共有を目指すという、この「全件の」の三文字です。
 なぜ、警察との「全件の」情報共有を問題にするのか。勿論、警察との連携は必要ですし、児童相談所と警察との情報共有も大事です。そこに、何ら異論はありません。しかし、児相には、地域住民、学校、市町村をはじめ様々なところから、児童虐待の早期発見につながる重要な情報や、虐待とまでは言い切れない、さまざまな多数の情報が寄せられます。児相は、その情報を総合的に見極めて、適切に対応しなければなりません。
 県と警察は、4月1日から実施している新しい「児童虐待事案における情報提供に関する協定書」に基づき、「千葉県子ども虐待対応マニュアル」の緊急度アセスメントシートでいう、緊急介入による一時保護を検討するケース「緊急度AA」や、緊急支援によって再発防止を含む虐待発生前の一時保護を検討するケース「緊急度A」の情報はすでに共有できています。付帯決議案は、この範囲をさらに広げようとするものです。
 では、どこまで広げるのか。常任委員会で提案者も認めたように、アセスメントシートにある集中的支援の「緊急度B」と、継続的・総合的な支援の「緊急度C」も情報提供することになります。例えば「緊急度C」の情報の中には、虐待によるのではない、発達の遅れや障害など子どもの生育上の問題や、保護者の死亡・失踪、離婚、妊娠・出産、ひとり親など家族状況の情報が含まれます。こうした情報が虐待の「恐れ」があるからと言って、もっぱら刑事事件として対応する警察に、虐待に結びつかない情報まで、無条件に、すべて提供するということが、結果として、虐待防止に役立つでしょうか。なんの問題もないということなのでしょうか。
 そもそも虐待は、子どもの命と安全、人権が脅かされるものです。その虐待から子どもを守ろうという取り組みで、障害があるから、離婚しているから、ひとり親だから、などというだけで、あの親は虐待しているのではないか、この子は虐待されているのではないか、周りからの視線に晒されたら、かえって子どもの心を傷つけ、親子の信頼関係も損ねてしまうことが懸念されます。
 警察との「全件情報共有」については、今年6月、参議院本会議で全会一致で可決、成立した児童虐待防止対策強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律でも盛り込まれていません。これに先立ち、昨年8月、加藤厚労大臣は、国の緊急総合対策で、警察との共有する情報を明確化した、各自治体で実状に即した具体化を、と求め、共有そのものにも様々なご意見がある、として、拙速な判断は避けています。
 また、日本子ども虐待防止学会も、国への要望書のなかで、警察への全件共有は、一般市民、あるいは子ども自身や親族等が積極的な通報をためらう、通告の抑止につながりかねない、とのべ、警察への情報提供は必要な場合に限り、子どもの福祉のために効果的に行われる必要がある、と指摘しています。
 県も、警察が情報過多に陥って重篤なケースへの対応が遅れたり、警察と児童相談所がつながっていることが知れると、相談者自身が相談をためらう、などのデメリットを承知しています。
 常任委員会では、縷々述べた「全件情報共有」の抱えている問題点、懸念される事項を繰り返し質しました。しかし提案者は、ただただ「全件共有すべき」という姿勢を変えず、到底、疑義が晴れるようなお答えではありませんでした。また、提案者は「全件共有」について、県民的な議論が十分に成熟していないことも事実上お認めになりました。しかしながら、再三求めた「全件の」という3文字の削除は、最後まで受け入れていただけませんでした。
 したがって、残念ではありますが、本付帯決議案には賛成できません。県民とともに今後とも、虐待のない、子どもの命、人権、尊厳がしっかりと守れる千葉県を目指して、全力を尽くす決意を表明し、討論といたします。